最新記事

宇宙

中国で「地球外文明」から信号を検知? 中国メディアはなぜか記事をすぐに削除

China Confirms Receiving Possible Alien Signals From Other Planets; Deletes Report Next Day

2022年6月18日(土)18時54分
デーン・エネリオ
500メートル口径球面電波望遠鏡

EzumeImages-iStock

<「地球外文明からの可能性がある信号」をキャッチしたと大々的に発表したが、第一報を報じた「科技日報」の記事はなぜか翌日に削除された>

中国当局は6月14日、中国にある世界最大口径の電波望遠鏡が、「宇宙人が発信したとみられる信号」を検知したと発表。だがこの報道は、翌日には削除されてしまった。

中国・科学技術部の機関紙「科技日報」は14日、北京師範大学の研究チームが「天眼」の通称で知られる500メートル口径球面電波望遠鏡(FAST)を使って、「地球外から技術の痕跡と地球外文明の可能性がある信号をいくつか」検知したことを明らかにした。米ニューヨーク・ポスト紙によれば、研究チームはこの中で、FASTが検知した狭帯域の電磁信号は、これまでに検知された信号とは異なるものだったと説明した。

FASTのこの発見は、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」でトレンド入りし、ほかの複数の報道機関にも取り上げられたが、最初に発見を報じた科技日報の記事は、15日までにウェブサイトから削除されている。記事が削除された理由は、明らかになっていない。

220617web_css02.jpg

現在は記事が閲覧できない状態に

中国南西部の貴州省に設置されているFASTは、2020年9月から地球外生命の探査を開始。研究チームは2020年にも、天眼の2019年の観測データを処理していた際に、地球外文明が発信したとみられる2組の信号を検知しており、さらに2022年に入ってからも1組の信号を発見しているということだ。

共同研究の米科学者も「電波干渉」と結論づける

ただし地球外文明探査チームの主任科学者である張同傑は、これらの信号について、電波干渉の可能性も「非常に高い」としている。地球外文明の探査は、北京師範大学、中国科学院国家天文台と米カリフォルニア大学バークレー校による共同プロジェクトだ。

宇宙関連ニュースサイトの「Space.com」によれば、カリフォルニア大学バークレー校の地球外知的生命探査(SETI)研究所の主任技術者であるダン・ワーティマーも、これらの信号は電波干渉だと結論づけている。

北京師範大学の地球外知的生命探査チームと共同で研究を行っているワーティマーは、「これらの信号は電波干渉によるものだ。宇宙人ではなく、地球人による電波汚染、専門用語で言うところの無線周波妨害(RFI)によるものだ。RFIは観測所の近くにある携帯電話、テレビの送信機、レーダー、衛星や電子機器、コンピューターから発生するノイズによって引き起こされる可能性がある」と指摘し、さらにこう続けた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

中国軍、台湾包囲の大規模演習 実弾射撃や港湾封鎖訓

ワールド

和平枠組みで15年間の米安全保障を想定、ゼレンスキ

ワールド

トルコでIS戦闘員と銃撃戦、警察官3人死亡 攻撃警

ビジネス

独経済団体、半数が26年の人員削減を予想 経済危機
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    アメリカで肥満は減ったのに、なぜ糖尿病は増えてい…
  • 10
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中