最新記事

地球

7年周期で外核の最外部を通過する新しいタイプの磁波が発見される

2022年6月2日(木)17時00分
松岡由希子

地球の外核(中心部にある液体の層)の最外部を7年ごとに通過する新しいタイプの磁波が見つかった credit:Felix Gerick

<「地球の外核(中心部にある液体の層)の最外部を7年ごとに通過する新しいタイプの磁波が見つかった」との研究成果が発表された>

地球には磁場があり、その勢力が及ぶ領域、すなわち「地球磁気圏」が地球を包み込んで宇宙線などから生命体を保護している。磁場の強さや大きさ、形状は変動しており、時間の経過とともに弱まっているが、「磁場がどこでどのように発生したのか」、「磁場はなぜ常に変動し、徐々に弱まっているのか」など、解明されていない点もまだ少なくない。

年あたり最大1500キロの速度で西へ移動している

2022年5月に開催されたESA(欧州宇宙機関)のシンポジウムでは、「地球の外核(中心部にある液体の層)の最外部を7年ごとに通過する新しいタイプの磁波が見つかった」との研究成果が発表された。その研究論文は2022年3月21日付の「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載されている。

ESAは2013年11月、人工衛星3基からなる地磁気観測衛星「スウォーム(SWARM)」を打ち上げ、地球磁気圏のデータを収集している。仏グルノーブル・アルプ大学らの研究チームは、「スウォーム」の観測データとドイツの地球観測衛星「チャンプ」やデンマークの磁場観測衛星「オーステッド」がそれ以前に観測したデータを組み合わせ、1999年から2021年までの約20年にわたる観測データを分析した。

Magnetic_waves_across_Earth_s_outer_core.jpg

地球の外核の表面での波のような流れと磁場の摂動 credit: Nicolas Gillet


その結果、核とマントルが接する外核の最外部を横切る新しいタイプの磁波が検出された。この「磁気コリオリ波」の周期は7年で、振幅は年あたり約3キロに達し、年あたり最大1500キロの速度で西へ移動している。研究論文の筆頭著者でグルノーブル・アルプ大学のニコラス・ジレ研究員は「このような波の存在は長年にわたって理論化されてきたが、これまでは今回の研究結果が示したよりもずっと長い時間的尺度で起こっていると考えられてきた」と述べている。

磁波は外核深部の攪乱によって引き起こされるとみられる

この研究成果は、異なる周期で振動する「磁気コリオリ波」がほかにも存在する可能性を示唆している。ジレ研究員は「磁波は外核深部の攪乱によって引き起こされるとみられ、おそらく浮力ブルームと関連している」と考察。また、「磁波はそれぞれ周期と長さスケールで特定され、その周期は作用する力の特徴に依存する。『磁気コリオリ波』では、周期が外核内の磁場の強さを示している」とし、「より長い周期の磁波が存在するかもしれない」と指摘している

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

香港証券監督当局、IPO申請の「重大な不備」指摘 

ビジネス

ディズニーCEO、任期満了前に退任の意向 WSJ報

ビジネス

物価対策は焦眉の急、次の利上げ「タイミング逃さず」

ワールド

トランプ氏、「キューバは米との取引望む」 経済窮状
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 2
    関節が弱ると人生も鈍る...健康長寿は「自重筋トレ」から生まれる
  • 3
    世界初、太陽光だけで走る完全自己充電バイク...イタリア建築家が生んだ次世代モビリティ「ソラリス」
  • 4
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 5
    中国がちらつかせる「琉球カード」の真意
  • 6
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 7
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    【銘柄】「大戸屋」「木曽路」も株価が上がる...外食…
  • 10
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 5
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中