温暖化で野草の40%が減少、朝食に大打撃が
Vanishing Flowers
論文によると、暖かくて湿った区画に育った植物は14年は25種類だったが、15年は19種類に減った。そこにやって来た昆虫も、14年は80種類だったが、15年は69種類に減った。
一方、気温と湿度が上昇しても、通常の区画と比べて植物の構成にはほとんど変化がなく、アラゲシュンギクやヤグルマソウ、オオイヌノフグリ、ナズナ、コハコベなどが最も多かった。
ただし、気温が上昇すると全体的な野草の量は40%減った。花が枯れた後にできる種子の数も減り、種子の重さも通常の区画より大幅に軽くなった。唯一の例外はオオイヌノフグリで、その種子は重くなった。ただ、花の蜜が65%減ったため、集まってくる昆虫は減った。
「この研究の重要な発見は、全ての野草が温暖化に同じ反応を示すわけではないらしいことだ。このため気候変動が植物群落や昆虫との関係に与える影響を予想するのは難しい」と、スタウトは語る。
それでも野草の全体量と種子の数が減少したことは懸念すべきだと、スタウトは言う。「なぜなら野花の減少は、既に花粉媒介昆虫が減る大きな原因になっているからだ」
暖かい環境では、花粉媒介昆虫の採食行動に大きな変化が生じることも分かった。最も数が多いハナアブとミツバチとマルハナバチは、必要な蜜と花粉を集めるために、より多くの花に飛来し、同じ花に飛来する頻度も増した。
「花の数が減って蜜が減ると、花粉媒介昆虫にとっての食料が減る」と、モスは指摘する。それは虫の間で競争を引き起こし、最適ではない花を選ぶことを強いられる虫も出てくるかもしれない。「そうなれば虫たちの適性と生き残りにも影響を及ぼす恐れがある」
現代の世界では、農業と住宅開発のために、野草を含む植物の40%が絶滅する恐れがある。米カリフォルニア州は、気候変動により冬の気温が上昇して降雨量が減った結果、過去15年間で野草の種類が15%減ったとされる。
イギリスでは、人間の活動により、1930年代にあった野原の約97%が失われ、野イチゴやイトシャジンなど、かつてはありふれていた野草の存続が脅かされている。
野花の喪失は、数千種の昆虫にも影響を与える。これにはハチのような花粉媒介昆虫だけでなく、アブラムシやバッタや毛虫などの草食類も含まれる。クモやテントウムシやクサカゲロウなど、害虫を駆除する役割を果たしてくれる虫にもダメージを与える。