「ウクライナを守る盾」、ロシア艦を撃沈した「ネプチューン」が戦局を変えた
Neptune Anti-Ship Missile May Have Been Weapon That Sank Russian 'Moskva'
@michaelh992/Twitter
<2014年のクリミア併合を受けて開発されたウクライナの国産ミサイルが、ロシアの侵攻に対する防衛戦争で大活躍>
ロシアによる軍事侵攻に激しい抵抗を続けているウクライナ。その「防衛戦」で最も大きな戦果のひとつをもたらし、戦局を有利に変える中心的な役割を果たしたのは、ウクライナ国内で設計・製造された、ある兵器かもしれない。
ウクライナ軍は4月に、ロシア黒海艦隊の旗艦、ミサイル巡洋艦「モスクワ」を沈没させたと宣言した。これは自軍よりはるかに大きな規模を誇るロシア軍に対する、象徴的かつ戦略的に重要な勝利だった。
Clearer picture of the Moskva (which has been circulating over the past 24 hours) pic.twitter.com/ykH7fpiRkW
— Michael A. Horowitz (@michaelh992) April 18, 2022
ロシア政府は「モスクワ」沈没の原因がミサイル攻撃によるものだったとは認めていないが、ウクライナ側がロシアに激しく抵抗する中で、時にロシアにとって予想外の先進兵器を使用してきたのは事実だ。
「モスクワ」への攻撃に使われたのは、対艦ミサイル「ネプチューン」。歴史専門サイトのHistoryNet.comによれば、これは2014年にロシアがクリミア半島を併合したことを受けて、ウクライナが独自に開発した対艦ミサイルだ。
開発を行ったのはウクライナの国家キーウ設計局「ルーチ」で、旧ソ連の対艦ミサイル「Kh-35」に幾つかの改良を加えて、2015年に首都キーウ(キエフ)で行われた兵器見本市「アームズ・アンド・セキュリティ・インターナショナル・エグジビション」で「R-360ネプチューン」としてお披露目された。
同設計局はネプチューンについて、巡洋艦や駆逐艦、戦車揚陸艦をはじめとする艦船などを撃破するために開発された対艦ミサイルだと説明している。
海における「ウクライナを守る盾」
HistoryNet.comによれば、ネプチューンは全長約4.8メートル。ミサイル重量は870キログラムで、弾頭が150キログラムだ。ネプチューンの1個大隊は6両編成の移動式発射装置で、海岸線から最大約25キロメートル離れた地点からの発射が可能。海面上10~15メートルを飛翔することで、敵のレーダーをかいくぐることができる。
キーウ・ポスト紙の報道によれば、ウクライナ海軍の最高指揮官であるオレクシー・ネイジュパパ少将は、2021年3月15日のミサイル納品式典の際、「このシステムは、アゾフ海と黒海でウクライナを防衛するために設計されたものだ」と述べていた。
Russian OSINT Rybar calculated the most likely position of Ukrainian Neptune anti-ship missile launchers.
— What's the media hiding? (@narrative_hole) May 9, 2022
Man these guys are good. pic.twitter.com/VOH27pr1Hi
同紙によればウクライナ海軍は、ロシアの脅威から自国の海岸線を守るために、新たに設けた沿岸防衛専門のミサイル大隊にネプチューンを導入。現在ロシア軍の爆撃を受けている、クリミアに近い黒海沿岸の都市オデーサ(オデッサ)に配備したという。
ネイジュパパは式典の中で「海軍の沿岸ミサイル防衛部隊にとって、今日は歴史的な日だ」と述べ、ネプチューンを「海におけるウクライナのミサイルの盾」と称した。