最新記事

ウクライナ

ウクライナ軍が「黒魔術」を使用? 「悪魔の紋章」など儀式の痕跡を発見と露報道

Russian Media Accuse Ukraine of Using 'Black Magic' as Invasion Falters

2022年5月6日(金)17時05分
イザベル・ファン・ブリューゲン
ルハンスクの建物

戦闘で破壊されたルハンスクの学校。ルハンスクでは現在も激しい戦闘が続く Alexander Ermochenko-REUTERS

<ロシア軍との戦闘が続く東部ドンバス地方にあるウクライナ軍の基地の壁には、「悪の勢力の魔術の紋章」が残されていたという>

ウクライナは、ロシアによる侵攻を食い止めるために「黒魔術」を使っている――ロシアのメディアがこんな「疑惑」を報じている。ロシア国営通信社のRIAノーボスチは、カルト研究者のエカテリーナ・ダイスの言葉を引用し、ウクライナ軍の複数の部隊が、東部のドンバス地方で黒魔術を実践した疑いがあると報道した。

この報道によれば、ルハンスク(ルガンスク)地方のトレヒズベンカ村のはずれにあるウクライナ側の軍事基地で、黒魔術の「痕跡」が見つかったという。RIAノーボスチは、この軍事基地の壁に残っていたという「悪魔の紋章」と呼ばれるシンボルの写真を報道した。

ダイスは、このシンボルは「交差する数多くの線から成る」黒魔術のシンボルだと主張し、次のように述べた。

「これが何を意味するのか、確かなことを言うのは難しいが、円の左端に混乱を意味する印が反転したものと、『CC』のシンボルの一部、ルーン文字の一部が明らかに認められる。さらにヘブライ文字の『ザイン』がドイツ語で書かれていて、これは剣や兵器を意味する」

ダイスは、このシンボルは「悪の勢力の魔術の紋章」であり、混乱や兵器、ファシストの象徴を組み合わせたものだと説明。さらに、このシンボルは一筆書きで描かれており、それがこのシンボルの「超自然的な性質」を表しているとも述べた。

「ほかはどこにも血の跡はなかったのに......」

ロシア政府が支援する大手メディアのスプートニクも同様に、ドンバス地方にあるウクライナの軍事基地で「黒魔術の儀式を実践した痕跡」が発見されたと報道。壁に「悪の勢力の魔術の紋章」が見つかったと報じたが、それ以上の詳しい情報はなかった。

RIAノーボスチは、軍事基地にある建物の中で、ドンバス地方で出た犠牲に関する情報を含む文書が発見されたことも明らかにし、「ほかのどの場所にも血の跡がなかったにもかかわらず、文書には縞状に血がついていた」と報じた。

現在、ロシア軍はウクライナ側の激しい抵抗に遭いながらも、進軍を続けている。

ロシア国営のベドモスチ紙によれば、ロシア政府の高官であるセルゲイ・キリエンコは最近、各地方の知事に対して、ロシアの迅速な勝利を約束したり、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナでの軍事作戦が近いうちに終わるという誤った期待を持たせるような発言をしたりしないよう命じたということだ。

プーチンが隣国ウクライナでの「特別軍事作戦」を命じてから2カ月以上。ロシア側は徐々に、物資の不足や兵士たちの士気の低下、軍事的な損失などに苦しめられつつあるようだ。

イギリスの国防省は5月2日に発表した最新の分析報告の中で、ウクライナでの戦闘を支援するロシア軍の大隊戦術群のうち、4分の1以上が「戦闘不能」になっている可能性が高いと指摘した。

同報告書は「空挺部隊をはじめとする、ロシア軍の精鋭部隊の一部が最も大きな打撃を受けている」と述べ、さらにこう続けた。「これらの部隊の再建には、おそらく数年を要するだろう」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ワールド

FRB議長人事、大統領には良い選択肢が複数ある=米

ワールド

トランプ大統領、AI関連規則一本化へ 今週にも大統

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中