中国のミサイル実験の標的に自衛隊機の模型、台湾侵攻を想定
Satellite Images Hint at China's Taiwan Invasion Plans
衛星写真でタクラマカン砂漠のミサイル発射実験場に発見した航空自衛隊のMF-767機らしき実物大模型 PLANET LABS PBC
<タクラマカン砂漠のミサイル実験場に、台湾有事があれば出動するとみられる自衛隊機の実物大模型が設置されていることが衛星写真で発見された>
中国北西部の砂漠地帯で撮影された新しい衛星画像から、自衛隊機とそっくりの形をしたミサイル標的用の物体が発見された。この自衛隊機は、中国が台湾を攻撃した場合に使用される可能性がある。
日本は、アメリカ以外の国で最も多くの米軍部隊を受け入れている国で、太平洋における米軍の戦力投射の要所でもある。またアメリカの同盟国として、将来的に台湾の防衛に関与する可能性が最も高い。
日本経済新聞の英字紙「NIKKEI Asia」が5月20日に報じたところによると、中国軍が新疆ウイグル自治区のタクラマカン砂漠で射撃訓練に使用している物体は、日本の航空自衛隊(JASDF)が運用する早期警戒管制機(AWACS)で、ボーイングE-767をモデルにした実物大模型だと研究者らは考えている。
自衛隊のE-767AWACS 航空自衛隊
5月13日に新疆ウイグル自治区で撮影されたその衛星写真には、滑走路の上に配置された双発エンジンと機体に大きな円盤状のレーダーを搭載した航空機の実物大模型が写っている。その周囲には小型の戦闘機が何機も置かれている。
新米国安全保障センター非常勤シニアフェローで防衛アナリストのトーマス・シュガートは、この航空機模型をボーイングE-767と特定し、航空自衛隊が浜松基地で4機運用している、と同紙は報じた。
AWACSは戦闘において重要な監視の役割を果たし、空域を監視して地上のレーダー局では発見できない敵機やミサイルを探知、追跡する。E-767の場合、航続距離は約9000キロに達する。
軍艦や桟橋、港の模型も
NIKKEI Asiaによると、全米科学者連盟核情報プロジェクトのマット・コルダ研究員は、アメリカの衛星会社プラネット・ラボが撮影した画像から、場所を特定した。プラネット社は、この記事のために本誌に画像を提供した。
コルダは2021年夏、新疆と甘粛の別々の場所に建設されている数百のミサイル格納庫を発見した2つの分析チームの一員だった。このときもプラネット社の写真が役に立った。
5月初めには、米海軍研究所(USNI)がタクラマカン砂漠で軍艦と桟橋に似た発射実験用標的を発見している。台北のアナリストは、この桟橋の形状が台湾東部にある蘇澳港の特徴に似ていると指摘した。
USNI ニュースは2021年にこの砂漠で、レールの上に置かれた米空母と駆逐艦の模型を発見したと報じたが、いずれもミサイル実験の仮想標的だった可能性が高い。
アメリカ、日本、台湾の各政府にとって、中国のこうした訓練の狙いは明らかだ。人民解放軍が台湾に侵攻して、米軍と自衛隊が軍事介入した場合のシミュレーションをしているのだ。