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ジェンダー格差

日本は能力よりもジェンダーで所得が決まる社会

2022年4月6日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

同じく高等教育を終えていても、アラフィフのステージに達すると男女の差は一層ひどくなる。<図2>は、45~54歳の大学・大学院卒有業者の所得ピラミッドだ。就業状態・従業地位による色分けもしている。

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男性は最上層の1000万以上が最も多い。年功賃金のピークなので、上が厚い逆ピラミッドになっている。しかし女性は逆で下が厚く、非正規雇用や無業が多い。同じ大卒・大学院卒で、ここまで対照的な構造になるとは驚きだ。女性が、能力を十全に発揮できる環境から撤退させられているために他ならない。

OECD(経済協力開発機構)の国際成人力調査「PIAAC 2012」から次の事実も分かる。16~65歳の有業者を読解力レベルで低群(レベル2以下)と高群(4以上)に分け、年収が上位25%以上の割合をとると、日本の男性低群では31%、女性高群では15%となる。稼ぐ人の割合は高学力女性よりも低学力男性で高い。日本は能力よりもジェンダーの影響が大きい社会で、国際的に見て特異な傾向を示している。

日本の現状は,公正な能力主義が実現されていないだけでなく、女性の才能が浪費されている意味でも問題だ。本稿で示したグラフは多かれ少なかれどの社会でも見られるが、日本はその度合いが際立っている。機械的な年功賃金の撤廃やテレワークの普及等、働き方は変わりつつある。今後10年後で、今の異常な構造は変えなければならない。

<資料:総務省『就業構造基本調査』(2017年)

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