プーチンに「戦争反対」を進言するなど「自殺行為」──制裁対象のオリガルヒ
Telling Putin To End War Would be 'Suicide,' Says Russian Billionaire
Sputnik/Mikhail Klimentyev/Kremlin via REUTERS
<オリガルヒに戦争反対を進言するよう期待しても無駄。プーチンとの力の差は天文学的だと、オリガルヒのミハイル・フリードマンは語った>
プーチン政権が起こしたウクライナ侵攻のせいで、欧州連合(EU)など各国から厳しい制裁を受け、資産を凍結されるなどしているロシアの富豪たち。しかし、だからといって彼らに、戦争を止めるようウラジーミル・プーチン大統領に進言するよう期待するのは無理なようだ。そんなことをするのは「自殺行為」だと、オリガルヒの1人は語った。
ロシア最大の民間銀行「アルファ銀行」の創業者で、現在はプライベート・エクイティ・ファンド「レターワン」を経営するオリガルヒのミハイル・フリードマンは3月1日、長年のビジネスパートナーであるピョートル・アベンとともに、EUから制裁を受けた。続いて英政府も3月の第3週に、ロシアのウクライナ侵攻を受け、2人に制裁を科すと発表した。
EUは制裁を発表した際、アベンについて、クレムリンで定期的に開催される大統領との会合に参加している、プーチンに「最も近いオリガルヒ」の一人だと説明した。一方、ウクライナ出身のフリードマンは、プーチンと直接話したことはないが、ほかのビジネスリーダーたちと一緒に会合を開いたことはあると述べている。
フリードマンはブルームバーグの取材に対し、アベンとプーチンの会合の重要性を否定したうえで、オリガルヒは大統領に対する影響力を持っておらず、ウクライナ侵攻への異議を申し立てることは「絶対にない」と断言した。
「誰であれ、プーチン氏との力の差は、地球と宇宙の距離くらい離れている」とフリードマンは語った。「アベン氏は、『お時間をいただき誠にありがとうございます』という感じで近づいていただけだ。プーチン氏に戦争反対と伝えるなんて、誰にとっても自殺行為だ」
「ロシアの仕組みを理解していない」
フリードマンはまた、自身とアベンに対する制裁に正当な根拠があるとは考えていない理由を説明した。自分たちは、ウクライナでの紛争に関するプーチンの判断にいかなる影響も及ぼすことはできない、というのだ。
「もしEUの責任者が、制裁を受けたことで私がプーチン氏に連絡し、戦争をやめるように言えば聞いてもらえると信じているのだとしたら、それはわれわれ全員にとって大問題だ」と、フリードマンは言う。
「なぜなら、この決定を下している人たちが、ロシアの仕組みについて何もわかっていないことを露呈しているからだ。そして、これは将来にとって危険なことだ」
ブルームバーグによれば、ロシアがウクライナに侵攻する前、フリードマンは約140億ドル相当の資産を保有していた。制裁後、帳簿上では推定100億ドルを保有しているが、実質的に、その資産にアクセスする方法はない。