最新記事

ウクライナ情勢

ウクライナに駆けつける外国人義勇兵たち その動機と実態

2022年3月10日(木)11時02分

単に「パラ」と呼ばれることも多いパラシュート連隊は近年、アフガニスタンとイラクで参戦している。この元兵士は「全員きわめて練度が高く、多くの機会で実際の戦闘を経験している」と話す。ウクライナ危機は彼らに目的と連帯感、そして「彼らが得意とすること、つまり戦闘の機会」を与えてくれるという。

前出のファーコルさんによれば、彼の出身地である米シカゴには、ウクライナ系の人々がたくさん住んでいたという。彼がキエフ行を決めたのは、「力になりたい」と考えたからだ。

ファーコルさんは5日、前線に向かう列車に乗ろうとリビウ駅にやって来た。あふれる避難民をかき分けつつ、「正直なところ、少しナーバスになっている。しかし一方では、自分のためではない、とも思う。いま苦しんでいる人々のためだ」と語った。

「銃あり、どこでも参上」

人によっては、どれほど遠く離れた国からであろうと、ウクライナにたどり着くまでの旅程はさほど問題ではななかった。だが防弾ベストやヘルメットその他の装備を持参せずにやって来て、ウクライナ国内での調達に苦労している人々もいると、ロイターが取材した複数の外国人戦闘員は明かした。

従軍経験者の中には、フェイスブックやワッツアップ上に作られた「Have Gun Will Travel(銃あり、どこでも参上)」などの名称の招待者限定グループで、装備や兵站についての情報を共有する人もいる。こうしたグループには、防弾ベストや暗視ゴーグルといった装備を求める訴えや、狙撃手経験があったり、西側諸国が提供する最新兵器の使用法をウクライナの兵士に教えられたりする外国人の軍出身者を求める声が寄せられている。

ウクライナでは男性国民の大規模な動員が進み、志願兵は数多く集まっている。不足しているのは、「ジャベリン」や「NLAW」といった対戦車ミサイルの操作方法を知るスペシャリストだ。きちんと使うには、正規兵でも数ヶ月の訓練が必要となる。

クルーガーと名乗る元英軍兵士は、たとえ戦闘経験があってもウクライナの戦場では苦労するかも知れない、と警告する。

アフガニスタンでの従軍経験があり、他の兵士の訓練にも当たったというクルーガーは、「戦争見物のつもりでここに来たなら、帰った方がいい。前線に向かったら、戦争の現実に酷く打ちのめされるだろう」と話した。

リビウに到着した外国人志願者は、半ば要塞化された地域行政庁舎に案内され、シェペリャク氏による書類審査を受ける。シェペリャク氏は、この地域の国際技術支援・協力局のトップを務める。同氏は、戦闘参加を志願する外国人に対応する体制がまだ十分に整っていないことを認める。

ロイターが取材に訪れた4日、シェペリャク氏のオフィスには6人の外国人が来ていた。ミシャルと名乗るポーランド軍出身者と、たくさんのタトゥーを入れたバートと名乗るオランダ出身の大男もいた。2人ともフルネームは教えてくれなかった。

シェペリャク氏はロイターに対し、到着する外国人はますます増えていると語った。「彼らが外国のために尽くしたいという願いと信念をこれほどまでに抱いているのだとすれば、ただごとではない。彼らは重要な存在だ」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

米政権が刑事訴追警告とパウエル氏、金利巡る圧力強化

ワールド

イラン抗議デモで死者500人超、トランプ氏「強力な

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ石油収入の差し押さえ阻止へ大

ビジネス

パウエルFRB議長を捜査、米連邦検察 本部改修巡り
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画をネット民冷笑...「本当に痛々しい」
  • 4
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 9
    飛行機内で「マナー最悪」の乗客を撮影...SNS投稿が…
  • 10
    決死の嘘が救ったクリムトの肖像画 ──ナチスの迫害を…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    中国が投稿したアメリカをラップで風刺するAI動画を…
  • 6
    次々に船に降り立つ兵士たち...米南方軍が「影の船団…
  • 7
    Netflix『ストレンジャー・シングス』最終シーズンへ…
  • 8
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 9
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
  • 10
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 7
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 8
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中