ウクライナに駆けつける外国人義勇兵たち その動機と実態
単に「パラ」と呼ばれることも多いパラシュート連隊は近年、アフガニスタンとイラクで参戦している。この元兵士は「全員きわめて練度が高く、多くの機会で実際の戦闘を経験している」と話す。ウクライナ危機は彼らに目的と連帯感、そして「彼らが得意とすること、つまり戦闘の機会」を与えてくれるという。
前出のファーコルさんによれば、彼の出身地である米シカゴには、ウクライナ系の人々がたくさん住んでいたという。彼がキエフ行を決めたのは、「力になりたい」と考えたからだ。
ファーコルさんは5日、前線に向かう列車に乗ろうとリビウ駅にやって来た。あふれる避難民をかき分けつつ、「正直なところ、少しナーバスになっている。しかし一方では、自分のためではない、とも思う。いま苦しんでいる人々のためだ」と語った。
「銃あり、どこでも参上」
人によっては、どれほど遠く離れた国からであろうと、ウクライナにたどり着くまでの旅程はさほど問題ではななかった。だが防弾ベストやヘルメットその他の装備を持参せずにやって来て、ウクライナ国内での調達に苦労している人々もいると、ロイターが取材した複数の外国人戦闘員は明かした。
従軍経験者の中には、フェイスブックやワッツアップ上に作られた「Have Gun Will Travel(銃あり、どこでも参上)」などの名称の招待者限定グループで、装備や兵站についての情報を共有する人もいる。こうしたグループには、防弾ベストや暗視ゴーグルといった装備を求める訴えや、狙撃手経験があったり、西側諸国が提供する最新兵器の使用法をウクライナの兵士に教えられたりする外国人の軍出身者を求める声が寄せられている。
ウクライナでは男性国民の大規模な動員が進み、志願兵は数多く集まっている。不足しているのは、「ジャベリン」や「NLAW」といった対戦車ミサイルの操作方法を知るスペシャリストだ。きちんと使うには、正規兵でも数ヶ月の訓練が必要となる。
クルーガーと名乗る元英軍兵士は、たとえ戦闘経験があってもウクライナの戦場では苦労するかも知れない、と警告する。
アフガニスタンでの従軍経験があり、他の兵士の訓練にも当たったというクルーガーは、「戦争見物のつもりでここに来たなら、帰った方がいい。前線に向かったら、戦争の現実に酷く打ちのめされるだろう」と話した。
リビウに到着した外国人志願者は、半ば要塞化された地域行政庁舎に案内され、シェペリャク氏による書類審査を受ける。シェペリャク氏は、この地域の国際技術支援・協力局のトップを務める。同氏は、戦闘参加を志願する外国人に対応する体制がまだ十分に整っていないことを認める。
ロイターが取材に訪れた4日、シェペリャク氏のオフィスには6人の外国人が来ていた。ミシャルと名乗るポーランド軍出身者と、たくさんのタトゥーを入れたバートと名乗るオランダ出身の大男もいた。2人ともフルネームは教えてくれなかった。
シェペリャク氏はロイターに対し、到着する外国人はますます増えていると語った。「彼らが外国のために尽くしたいという願いと信念をこれほどまでに抱いているのだとすれば、ただごとではない。彼らは重要な存在だ」