「次の瞬間に何が起きるか...」 爆撃に怯えるウクライナ市民から届いた「現地」の声
Under Russian Assault, Kharkiv Kids, Pets Huddle on Subway Station Floor
首都キエフの地下鉄駅に避難した人々 Viacheslav Ratynskyi-REUTERS
<爆撃音が響くウクライナ・ハリコフの町で、地下鉄駅に避難する市民が本誌に語った緊迫する現場の様子と、攻撃にさらされる彼らが本当に求めているもの>
ヴァレンティナ・ディロワは頭上で鳴り響く爆撃音を聞きながら、恐怖を感じつつも強い気持ちを失わずにいた。彼女は29歳のウクライナ人で、1年ほど暮らすハリコフ(ウクライナ北東部にある、首都キエフに次ぐ国内第2の都市)からメッセージアプリWhatsAppで本誌に連絡してきた。現在は、防空壕と化した地下鉄駅に避難している。
ロシア軍がウクライナに侵攻した後、ディロワを含む多くの人がこの地下鉄駅に逃げ込み、次の展開をじっと待っているという。人々は食料や水を分け合っている、とディロワは話す。「時おり」爆発音が聞こえてくる。人々は毛布で寒さをしのいでいる。
「私は一人ではない」とディロワは本誌に語った。「私は夫と一緒で、ほかにも数百人が避難し、爆撃に備えている。ロシア軍による次の攻撃のことだ。ペットを連れている人もいれば、子供や幼児と床に寝転んでいる人もいる」
「彼らはここで眠っている。眠ろうと頑張っている人もいる。力強さを維持しようとしている人もいる。コミュニケーションを取り、友達になり、懸命に励まし合っている人たちもいる」とディロワは続ける。
これからどうするのか、それはまだ決まっていない。とりあえずディロワは、今いる場所に周囲の人々と一緒にとどまるつもりのようだ。「あなたは眠れているのか」と質問したところ、眠ろうとしているが、体が眠らせてくれないという答えが返ってきた。
「いつ終わるのかさえ分からない」
「現時点で最も安全な場所は地下だ。いま外に出るのは安全ではない。公式ニュースやロシア国境付近の状況を見る限り、彼らはクリミアへと続く陸路をつくりたがっているようだ。彼らはクリミアを侵略し、その動きをエスカレートさせてきた」とディロワは語る。
ディロワは英語教師で、ウクライナ南東部のメリトポリやザポリージャからほど近いヤキミフカという村の出身だ。彼女自身は、周囲で死傷者が出たなどの情報は聞いていないと話す。
「人々に支えられていることを実感している」とディロワは話す。「最も恐ろしいのは、次の瞬間に何が起きるか、いつ終わるかさえわからないことだ」耳にする情報を鵜吞みにすることもできない、とディロワは感じている。正確な情報を得るのが難しく、意図的に間違った情報が流されている可能性もあるためだ。
ディロワによれば、10歳の弟と両親は、ウクライナ南部のロシア国境から近い場所にいる。「彼らは現在の状況を間近で体験しており」、ロシア軍がいる地域からも距離が近いため、積極的に連絡を取るようにしてきたという。最近では10歳の弟と話すことができたが、弟は「死にたくない」と言い、おびた状態だったという。