最新記事

火山

観測史上最大......トンガの噴煙、成層圏を超えていた

2022年2月24日(木)18時50分
青葉やまと

幸いにも、2基の位置関係は観測に最適だった。噴火したトンガの海底火山「フンガトンガ・フンガハアパイ」は、西経175.4度に位置する。西経137.2度に構える「GOES-17」と、東経140.7度から観測中の「ひまわり8号」のほぼ中間に位置するという好条件だ。

ラングレー研究所ではこれら衛星の赤外線画像の視差から、噴煙の3Dモデルを作成した。さらに、その影の長さと下部に広がる雲の高さからも噴煙の高さを推定し、数値の正確性を検証したという。

海底噴火により大量の水蒸気が発生

噴煙がこれほどまでに発達した原因について、NASAラングレー研究所のクリストファー・ベッカ研究員は次のように説明している。「火山由来の熱と、海から発生した超高温の水蒸気が組み合わさることにより、噴火は前代未聞の規模となったのです。」 海底火山という条件から膨大な量の水蒸気が発生し、高い熱量を保ったまま噴煙を上空に押し上げたようだ。

巨大な雲が形成されたことで、並ならぬ雷が発生したという。ベッカ研究員は次のように続ける。「噴煙は、これまで観測された最大の雷雲を越え、その2.5倍の高さに達しました。噴火によって甚大な量の雷が発生しています。気象学的な観点からも特別な意味をもつものです。」

災害発生から1ヶ月が経ったいま、衛星画像などの各種解析を経て、事態の大きさがあらためて示される結果となった。

Aftermath of the Biggest Volcano Eruption Ever Caught on Tape from Space - Tonga


Hunga Tonga Volcano Update; Caldera Collapse, Eruption went Halfway into Space

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

ルノー、第3四半期は6.8%増収 市場予想上回る

ワールド

石油・ガス部門のメタン大量湧出、通告しても対応わず

ビジネス

オランダ半導体メーカー、自動車向け供給保証できない

ワールド

BHP製鉄用石炭事業、規制面で支援なければ「難しい
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺している動物は?
  • 3
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシアに続くのは意外な「あの国」!?
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    汚物をまき散らすトランプに『トップガン』のミュー…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    国立大卒業生の外資への就職、その背景にある日本の…
  • 9
    ハーバードで白熱する楽天の社内公用語英語化をめぐ…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 5
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 6
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 9
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ…
  • 10
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中