観測史上最大......トンガの噴煙、成層圏を超えていた
幸いにも、2基の位置関係は観測に最適だった。噴火したトンガの海底火山「フンガトンガ・フンガハアパイ」は、西経175.4度に位置する。西経137.2度に構える「GOES-17」と、東経140.7度から観測中の「ひまわり8号」のほぼ中間に位置するという好条件だ。
ラングレー研究所ではこれら衛星の赤外線画像の視差から、噴煙の3Dモデルを作成した。さらに、その影の長さと下部に広がる雲の高さからも噴煙の高さを推定し、数値の正確性を検証したという。
海底噴火により大量の水蒸気が発生
噴煙がこれほどまでに発達した原因について、NASAラングレー研究所のクリストファー・ベッカ研究員は次のように説明している。「火山由来の熱と、海から発生した超高温の水蒸気が組み合わさることにより、噴火は前代未聞の規模となったのです。」 海底火山という条件から膨大な量の水蒸気が発生し、高い熱量を保ったまま噴煙を上空に押し上げたようだ。
巨大な雲が形成されたことで、並ならぬ雷が発生したという。ベッカ研究員は次のように続ける。「噴煙は、これまで観測された最大の雷雲を越え、その2.5倍の高さに達しました。噴火によって甚大な量の雷が発生しています。気象学的な観点からも特別な意味をもつものです。」
災害発生から1ヶ月が経ったいま、衛星画像などの各種解析を経て、事態の大きさがあらためて示される結果となった。
Aftermath of the Biggest Volcano Eruption Ever Caught on Tape from Space - Tonga