中国共産党が五輪で手に入れたアメリカ育ちの広告塔アイリーン・グー(谷愛凌)の輝ける前途
U.S.-Born Eileen Gu Calls China 'Homeland' After Winning Gold in Beijing
フリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルを獲得したグー Tyrone Siu-REUTERS
<中国代表として五輪に出場した選択に「満足している」と語るも米国籍を放棄したかどうかは明言せず>
北京冬季五輪のフリースタイルスキー女子ビッグエアで金メダルを獲得し、大きな注目を集めたアメリカ生まれの中国代表選手、アイリーン・グー(中国名:谷愛凌)。2月8日の表彰式の後に公表された、中国共産党で汚職摘発を担う中央規律検査委員会(CCDI)とのインタビューの中で、北京大会で「祖国」を代表できることは光栄だと語った。
グーは開幕前から既に、北京冬季五輪の「顔」として地元中国で大きな人気を集めており、中国の社会や政府に「模範的人物」として紹介されてきた。CCDIも、グー(現在18歳)との独占インタビューの中で、彼女を「中国で最も人気の高いアスリートの一人」と称した。
中国人の母とアメリカ人の父のもと、米カリフォルニア州で生まれ育ったグーは、幼い頃からアメリカ代表として活躍する傍ら、高級ブランドのモデルも務めてきた。しかし2019年、彼女は「中国代表として競技に参加することを決めた」と発表。北京冬季五輪が近づくなか、彼女のこの決定が注目を集めたのは、スポンサー企業のレッドブルがグーについて、二重国籍を認めない中国の代表として競技に参加するために米国籍を放棄したとする内容の文章を掲載し、後にそれを削除したことがきっかけだった。
二重国籍疑惑には答えず
8日にビッグエアで初めての金メダルを獲得したグーは、その後の記者会見で何度か国籍についての質問を投げかけられたものの、明言はせず、中国代表になることを決めた理由をあれこれ詮索する懐疑派について、「無教養」で他人の気持ちを理解できない人々だと批判した。中国は彼女の勝利と会見での対応を称賛した。
CCDIとのインタビューはビッグエアの競技前に行われ、彼女が金メダルを獲得した後に公表された。この中で彼女は、2022年の北京冬季五輪で競うのが夢だったと語った。
「中国代表として競技に参加できることは、とても光栄だ」とグーは語り、夏冬の両季オリンピックを開催する初の都市となった北京について、「常に私の地元のひとつだった」と流暢な中国語で述べた。「だから故郷に帰ってきたような気分だし、ここにいる全ての人が私の家族のような感じがしている」