中国共産党が五輪で手に入れたアメリカ育ちの広告塔アイリーン・グー(谷愛凌)の輝ける前途
U.S.-Born Eileen Gu Calls China 'Homeland' After Winning Gold in Beijing
「幼い頃は、毎年夏に北京に帰ってきていた」とも語り、2008年に北京で夏季五輪が開催された時は5歳で、北京の国家体育場(通称「鳥の巣」)で陸上の3000メートル障害を見たことを振り返った。
「祖国で競技に参加することができて、とても嬉しい」とグーは語った。
グーは秋から米スタンフォード大学に通うことが決まっているが、中国の高級品市場に詳しいアメリカのサイト「ジンデイリー(Jing Daily、精奢商業日報)」は8日付の記事で、オリンピックが終わった後も、中国における彼女の影響力は続くだろうと指摘。グーは「マーケターの夢」であり、中国の政府とファッション、両方のブランドにとって理想的なアンバサダーになり得ると示唆した。
これまでもモデルとしてルイ・ヴィトンやビクトリアズ・シークレットの広告に登場しているグーだが、今後は多くの中国企業からも誘いがあるだろうと同サイトは予想する。「中国でセレブ文化が取り締まりの対象となるなか、グーがセレブを起用するブランド戦略にとっての『救世主』になるだろう」
「雪上のプリンセス」はセレブの模範
その意味では、共産党の汚職摘発機関であるCCDIのインタビュー自体が意味深だ。CCDIは2021年12月にも、台湾系アメリカ人の人気歌手ワン・リーホン(王力宏)が元妻に、乱れた女性関係や精神的虐待などを暴露されたスキャンダルを例に挙げ、セレブ文化を批判した。
香港の英字紙サウスチャイナ・モーニングポストの報道によればCCDIは、「最近の有名人のスキャンダルは、有名人の言動は世間の大きな注目を集め社会に影響を及ぼすものだということを改めて証明した」と指摘。「これらのスターたちは、自制しなければ尊敬を得ることはできない。悪い行いをすれば、いずれその代償を払うことになる」
だが、今では中国国民から「雪上のプリンセス」と呼ばれているグーなら見通しは明るそうだ。「今後も論議を呼ぶような言動を避け、北京冬季五輪で金メダルを獲得すれば、グーはほぼ確実に数百万ドルの稼ぎを手にすることになるだろう」とジンデイリーは予想していた(そして金メダルを獲得した)。
ビッグエアの競技を終えた後の会見で、グーは記者団に対し、中国代表として大会に参加した選択に満足しているし、懐疑的な見方をする人々のことは無視するつもりだと語った。