最新記事

新型コロナウイルス

研究のため「コロナ感染」してくれれば「報酬」払います...あなたは協力する?

Would You Get COVID If You Got Paid? This Study Is Seeking Virus Volunteers

2022年1月29日(土)16時06分
ドーン・ゲスク
新型コロナウイルス研究

写真はイメージ janiecbros-iStock

<英研究チームは、意図的にコロナ感染を起こして免疫の反応を見ることで、将来的なワクチン開発の期間短縮と機能向上につなげられるとする>

英オックスフォード大学の研究チームは、感染またはワクチン接種によって新型コロナウイルスに暴露されたことがある人を対象に、ウイルスがもたらす影響について研究を進めている。そのため、調査に協力してくれる人には多額の謝礼を払うという。

研究チームが求めているのは、新型コロナの病原体に意図的にさらされるボランティア。もちろん感染することによるリスクはあるが、人体の免疫がどういう反応を示すのかを研究するために必要であり、ワクチンの改善に役立つことが期待されると、研究者たちは主張している。

オックスフォード大学のワクチン学教授で、この研究の主任研究員を務めるヘレン・マクシェーンは「この臨床試験の目的は、健康な人がウイルスにさらされたとき、感染を防ぐために体内で抗体とT細胞がどの程度の免疫応答を起こすかを調べることだ」と述べている。

21年4月に開始されたこの研究では、症状が軽度もしくは無症状の感染を起こす少量のウイルスで、参加者の50%を感染させた。

この研究が、18~30歳の若くて健康な成人を対象に第二段階に入っている。すべての参加者に同量のウイルスを鼻から投与し、全員を感染させるという。この研究により、免疫応答が生じるのに必要となる最少のウイルス量を割り出そうというのだ。

「ワクチンは今後も改良し続けなければ」

「過去2年間で我々はCOVIDについて多くのことを学んだが、新たな変異株の出現は、ワクチンを今後も改良し続けなければならないのだろうということを意味している」と、マクシェーンは言う。「ワクチンによって誘発できる必要な免疫応答のレベルが分かれば、将来的なワクチン開発の時間を大幅に短縮し、効果も大幅に高められるはずだ」

なお、この研究では中国・武漢から送られたオリジナルの新型コロナウイルスが使用されている。

ボランティアとして研究に参加するためには、研究チームの管理下で最低17日間の隔離生活を、研究用に準備された病院の特別室で過ごさなければならない。そこでは、肺のCTスキャンや心臓のMRIを含む、一連の医療検査を受けることになる。

感染によって症状が出た場合は、米製薬大手「リジェネロン」のモノクローナル抗体「ロナプリーブ」による治療が施されることになっている。研究は12カ月間続き、退院後も追跡調査のため最低5回の診断を受ける必要がある。

このすべてに協力すれば、最低4995ポンド(約77万円)が支払われるという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米人員削減、11月は前月比53%減 新規採用は低迷

ビジネス

英中銀、プライベート市場のストレステスト開始 27

ワールド

中国、レアアース輸出ライセンス合理化に取り組んでい

ワールド

ウクライナ南部に夜間攻撃、数万人が電力・暖房なしの
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 2
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国」はどこ?
  • 3
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与し、名誉ある「キーパー」に任命された日本人
  • 4
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 5
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 6
    【クイズ】日本で2番目に「ホタテの漁獲量」が多い県…
  • 7
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 8
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 9
    台湾に最も近い在日米軍嘉手納基地で滑走路の迅速復…
  • 10
    見えないと思った? ウィリアム皇太子夫妻、「車内の…
  • 1
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 4
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 5
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 6
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 7
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 4
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 5
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 8
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中