最新記事

新型コロナウイルス

現場の医師が警鐘「オミクロン株で見落とされていたこと」 感染爆発で明るみになった課題とは?

2022年1月28日(金)09時00分
鈴木理香子(フリーライター) *東洋経済オンラインからの転載

そのうえで、岡医師はこう訴える。

「皆さんには、"院内クラスターを起こした病院=悪"だと決めつけないでほしいのです。世間がそういう風潮になれば、現場も萎縮してしまい、患者さんの受け入れに二の足を踏む状況になってしまいかねません」

新型コロナウイルスの従来の特徴として、感染していても症状がない無症候性のケースが多いことが挙げられる。さらにワクチンによるマスキング効果も加わっている。

いずれにせよ、無症状では感染しているかどうかわからないし、症状があってもオミクロン株の場合は、発熱、咳、喉の痛みなどの軽い症状でとどまることが多く、インフルエンザや風邪と見分けることが難しい。知らない間に感染し、症状がない(あるいは軽い)状態で病院を受診した結果、病気を持ち、免疫力が落ちている患者たちに感染を広めてしまう――。そういう事象が院内クラスターのきっかけになりかねない。

実際、同院では流行状況が悪化してくると入院前にPCR検査を行っているが、別の病気で来院した人に感染が見つかるケースが、幾度かあったという。

入院予定のある人はとくに注意を

感染がわかった場合、当然ながらコロナ治療が優先され、本来の病気の治療は先延ばしになってしまう。自分にとっても、他人にとってもリスクが大きいからこそ、岡医師は入院の予定がある人に対しては、節度ある行動を呼びかける。

「少なくとも入院予定がある患者さんは、入院10日前以降は大勢の会食など、感染リスクが高まるようなことは控えてほしい。病院の食事はおいしくないから、入院前に好きなものを食べておきたいという気持ちはよくわかります。でも、今はがまんするか、家族など少人数での会食にとどめてください」

これは、外来で治療を受けている患者も同様だが、一方で自己判断による受診控えは避けなければならない。

「通院が不安なのはわかりますが、必要な通院はそのまま継続してください。気になる方は主治医にしっかり相談することです」

なお、入院、通院にかかわらず、病院にかかっている患者は、打てない事情がある人以外はコロナワクチンを接種しておいたほうがいいという。

さて、世の中では「オミクロン株は、もはやふつうの風邪と変わらない」と話す人たちも出てきているが、岡医師はそこに危機感を募らせる。

「まず、感染性の強さが違います。オミクロン株は水痘(水ぼうそう)のような空気感染を起こすウイルスと同じレベルの感染力を持っています。一方、重症化しにくいというのはあくまでもデルタ株との比較であって、従来株とあまり変わりません。重症化率が4割減ったとしても、感染者数が倍になれば重症者数は1.2倍になります」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、米大統領の空爆停止要請受け入れ 次回3者協

ビジネス

米エクソン、第4四半期利益は予想上回る 生産コスト

ビジネス

シェブロン、第4四半期利益が予想上回る ベネズエラ

ビジネス

スイスフラン操作には一切関与せず、中銀表明 米為替
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 3
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 6
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 7
    パキスタン戦闘機「JF17」に輸出交渉が相次ぐ? 200…
  • 8
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 9
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 10
    配達ライダーを飲み込んだ深さ20メートルの穴 日本…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 5
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 6
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 7
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 8
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 9
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中