まもなくエリザベス女王在位70年に 祝賀ムードに影さす王室人気の低下
一方、かつて王室内で最も人気があったヘンリー王子は、妻のメーガン妃とともに王室の責務を放棄し、ロサンゼルスに移ってしまった。王室内で何度か辛らつな悪口を言われたショックが原因だ。
チャールズ皇太子も長年の側近だったマイケル・フォーセット氏が、寄付の見返りに勲章を授与していたとされ、皇太子の慈善団体の責任者を辞任したため、厳しい目を向けられている。
ただ、王室の伝記作家、ペニー・ジュノー氏は「(これらのスキャンダルが)国民に君主制をなくすべきとの考えをもたらすだけの材料になるかどうか、私は懐疑的だ」と話した。
世論の風向き
各種世論調査では、国民の大多数が君主制は存続すべきとみている。昨年12月のある調査によると、エリザベス女王に好意的な見方をする人は83%に達した。それでも王室にとって心配な兆候も出てきている。
昨年11月にはカリブ海のバルバドスがエリザベス女王を元首とする立憲君主制を廃止し、共和制に移行。チャールズ皇太子は女王に比べて人気がなく、特に若い世代からの支持が低下しつつある。
女王が大半の時間を過ごしているウィンザーに住む学生のマルゴ・バトラーさん(20)は「私は(チャールズ皇太子が王位に就くのは)嫌な思いがする。王室全般について気掛かりはないが、皇太子は少しばかり問題がある。若い人の多くは同じ気持ちだろう」と話す。
だが、チャールズ皇太子に対する国民の気持ちが離れることや、アンドルー王子やハリー王子に関するタブロイド紙の見出しが王室の権威を低下させるというだけで、君主制がなくなることはなさそうだ。
一部の国民からすると、最近の新型コロナウイルス関連規制下でのジョンソン首相の「不行跡」や、トランプ前米大統領がもたらした騒ぎで、選挙で決まった指導者や国家元首は、人間性において君主よりも魅力が乏しく映っている。
政治・経済のエリート層の間でも、王室支持は盤石だ。与党・保守党が君主制廃止に賛同する気配は全くないし、主要野党の労働党は2019年の選挙で、元党首が愛国心に欠けると受け取られたため苦戦を強いられた。
ジョンソン氏は昨年、亡くなったフィリップ殿下をしのび、殿下は73年間女王の伴侶として君主制が国民生活の安定と幸福に不可欠な存在であり続ける手助けをしてきたと称賛した。
王室自体も、変化する世界にどのように適応していくべきか自覚している。女王は1997年の演説で、政治家は選挙を通じて国民から厳しい審判を受けるが、王室がそうしたメッセージを読み取るのはより難しいことがままあると発言。「私は結婚し、女王となってからずっとそうしたメッセージを正しく受け取るべく最善を尽くしてきた。そして、われわれ王室は将来も一体となってその努力をしていくつもりだ」と述べた。
(Ben Makori記者、Michael Holden記者)
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