ミャンマー軍、インド国境近くの住民10人を虐殺 13歳少年や記者らを後手に縛り......
国軍によって虐殺された村人たち RFA Burmese / YouTube
<カンボジア首相訪問を受けて、反政府勢力に一方的な停戦を宣言していた国軍だが実態は──>
反軍政の武装市民や少数民族の武装勢力と国軍の戦闘が激化しているミャンマーで、インドと国境を接する北西部チン州の住民10人が軍兵士によって虐殺されたことが住民の証言で明らかになった。
チン州マトゥピ郡区キルン村とロンロウ村、カセ村などで1月8日、9日に相次いで住民の遺体が発見され、その多くが6日に軍兵士に連行されて行方不明になっていた住民であることがわかったという。虐殺から逃れた住民の声などを反軍政の立場をとる独立系メディア「ミッズィマ」や「イラワディ」、さらに米政府系ラジオ局「ラジオ・フリー・アジア(RFA)」などが伝えた。
マトゥピに駐屯する陸軍第140歩兵大隊は、2021年末からインド国境に近い集落で抵抗を続ける武装市民組織「国民防衛隊(PDF)」への攻勢を強めており、PDFとは無関係の一般住民に対しても尋問、拘束、拷問、殺害が相次いでいたという。
道案内役の少年らを殺害
軍による攻撃を崖から飛び降りて逃れたという住民らの証言によると、約200人の兵士が1月5日攻撃を開始し、6日早朝にマトゥピ郡区の9つの村に次々に侵攻。住民らを拘束してそのうち数人を道案内役として軍に同行させたという。
軍はPDFやチン州の少数民族武装勢力である「チンランド防衛隊(CDF)」の待ち伏せ攻撃を避けるために主要道路を進まず、山間部の道を道案内役として強制連行した住民の案内で進んだ。
そして攻撃対象の村にたどり着くと案内役の住民はその場で殺害され、その中には13歳の少年も含まれていたという。
地元メディア編集長も虐殺の犠牲者に
報道によると地元メディア「ホア・ヌ・トゥン通信」の創業者兼編集長だったサライ・トゥイ・ディム氏も発見された10人の遺体に含まれていた。サライ氏は軍の攻撃を逃れるため国境を越えてインド側に避難していたが、この日たまたま故郷のマトゥピに戻っていて軍に拘束されたという。
チン州で一般住民10人の遺体が発見されたことについて軍政のゾー・ミン・トゥン国軍報道官はメディアに対して「マトゥピ地区ではテロリストであるPDFメンバーが活動中で軍部隊への攻撃を繰り返していたため小競り合いがあり、その結果死者がでて武器を押収した。軍が無抵抗、非武装の住民を攻撃することはない」と戦闘があったことは認めたが、住民の虐殺は否定した。