人間が見ている宇宙は全体のたった5%、残りは?
5 Unexplained Mysteries of the Universe
専門家らは表れたり消えたりする粒子によってダークエネルギーが生まれると考えて計算しようとしたが、10の120乗という恐ろしい数になってしまうことが分かった。NASAの言うように「こんなにとんでもない答えを出すのは困難」だ。
アインシュタインの理論の中には、もっと多くの宇宙が存在しうることや、この宇宙は空っぽではなく、いわゆる宇宙定数と呼ばれるエネルギーが存在することを示唆するものもある。
だがなぜそれが存在するはずなのか、なぜそれほどの力をもっているかは明らかではない。まったく新しい重力理論が必要だと考える人もいるが、謎の部分を説明するだけでなく、例えば太陽系の惑星の動きも正確に説明できるような理論とはいったいどんなものになるのだろうか? 謎は終わりそうにない。
ダークマターの謎
ダークエネルギーと対になっているのがダークマターだ。ダークマターは星が本来あるべきスピードよりも速く銀河を回っている理由や、光が目に見えない物体の重力によって曲がる理由を説明するのに必要な概念だ。
NASAによれば、ダークマターは「○○ではない」と考えると分かりやすい。直接見ることができない、つまり恒星でも惑星でも「ない」。放射線やエネルギーを吸収する雲のように観測できないから、暗黒の普通の物質ではない。反物質が物質と衝突する際に出るガンマ線が検知されないから反物質でもない。観測されている重力レンズ(大きな質量を持つ天体の重力で光が曲げられる現象のこと)の数から見て、大きなブラックホールでもない。
今、広く受け入れられている理論は、ダークマターは仮説上の粒子によってできているというものだ。
ダークエネルギーとダークマターは合わせて宇宙の95%を占めているというのが定説だ。われわれが直接観測できるのは残る5%に過ぎない。
テキサス大学オースティン校天文学部のマイク・ボイランコルチン准教授は本誌に対し、「ダークマター研究における足かせとなっているのは、ダークマターと宇宙の他の要素との間では重力を通じた影響しか確認されていないということだ。そして重力は直接実験するのは難しい」と語った。