最新記事

自殺

自殺幇助マシンがスイスで認可、2022年にも実用化?

'Sarco' Assisted Suicide Pod Could Be Available in 2022 After Passing Review in Switzerland

2021年12月8日(水)16時22分
ジョン・ジャクソン

自殺幇助としての使用が認可されたマシン EXIT INTERNATIONAL

<スイスでは昨年、1300人が医師の幇助で自殺を選んだ。だがこのマシンを使えば、自分自身で死のスイッチを押すことができる>

自殺幇助の用途で設計された可搬型のカプセルが、スイスの医療審査委員会の認可を受け、2022年にも実用化されるかもしれない。地元スイスのメディアが伝えた。

「サルコ」と呼ばれるこの自殺用カプセルは、非営利団体「エグジット・インターナショナル」が3Dプリント技術を用いて作成したもの。スイス公共放送協会(SBC)が開設したニュースプラットフォーム「スイス・インフォ」が12月6日に伝えたところによれば、物議を醸すこのカプセルが、法的な審査に合格したという。

スイス・インフォの報道によると、同国では、医師に処方された液体のペントバルビタール・ナトリウムを体内に取りこむ方法で、2020年におよそ1300人が自殺幇助により命を絶ったという。こうした自殺者は、薬剤を取りこんでから2〜5分以内に眠りに落ちるが、サルコは、管理下で薬剤を摂取する方法ではない選択肢を提供する。

この装置を考案したエグジット・インターナショナルのフィリップ・ニチキは、スイス・インフォでサルコについて次のように説明している(なお「サルコ」とは、古代ギリシャとエジプトで遺体を納めるのに用いられた石棺にちなんだ名だ)。

自殺希望者の判断力はAIで診断

「(死の)プロセスからいっさいの精神医学的な審査を排し、個人が自分でコントロールできるようにしたい」とニチキは話す。「わたしたちは、人工知能を使って利用希望者の判断能力を見極めるスクリーニングシステムの開発をめざしている。当然のことだが、精神科医を中心に、懐疑的な意見はたくさんある」

ニチキの説明によれば、利用者は、オンラインテストでスクリーニングされ、そのあとにサルコの使用を認められるという。テストに合格したら、サルコへのアクセスコードを受けとることができる。利用者が中に入っていくつかの質問に答えると、内側からサルコを起動できるようになる。自殺を思い止まった時には、中止することもできる。

「利用者はカプセル内に入り、横になる」とニチキは続けた。「とても快適だ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

FRBが3会合連続で0.25%利下げ、反対3票 緩

ビジネス

〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨

ビジネス

FRBに十分な利下げ余地、追加措置必要の可能性も=

ビジネス

米雇用コスト、第3四半期は前期比0.8%上昇 予想
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 3
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 4
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 8
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 9
    イギリスは「監視」、日本は「記録」...防犯カメラの…
  • 10
    「韓国のアマゾン」クーパン、国民の6割相当の大規模情…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中