コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出
中国でオーナーの隔離中に保健所職員ペットの犬が殺された...... (写真はイメージ) JackSpoon-iStock
<飼い主の女性が自宅に戻ると犬はおらず、防犯カメラに悲痛な姿が残されていた>
ゼロコロナ政策を強力に推進する中国で、ペットがその犠牲になっている。SNS「微博(Weibo)」は市民の怒りで荒れた。
騒動の発端となったのは、微博で共有された一本の動画だ。住人が自宅リビングに設置した監視カメラが、隅に追い詰められた1匹のコーギー犬を捉えている。部屋には保健所職員とみられる防護服姿の人間が2名おり、コーギーは訝しげに2人を見上げる。
突如、職員の1人がコーギーの頭部にバールを振り下ろすと、ややあって室内には「ギャウ」という悲痛な鳴き声が響く。コーギーはテーブルの下に隠れようとするが、職員たちはテーブル下から犬を追い出し、動画はそこで途切れている。飼い主の女性によると犬はその後、感染性廃棄物を回収する黄色のバッグに入れて持ち去られた。
動画が11月12日に微博でシェアされると、職員による残忍な対応への怒りでネットは荒れた。関連コメントの合計閲覧数は2億回を超え、騒動を受けて市は謝罪している。市によると犬は「処理された」という。
現場は中部江西省のジョウジョウ市に位置するマンションの一室で、周囲は感染封じ込めのための重点区域となっていた。飼い主の女性は濃厚接触者であることが判明し、突如保健当局から隔離生活に入るよう告げられたという。ペットは隔離施設に持ち込むことができないが、自宅に置いておく分には問題ないとの説明だった。
住民の隔離と並行して、保健所が住戸を訪れ消毒作業を実施している。立ち入りのため自宅は解錠しておくようにとの指示に反し、住民はドアを施錠していた模様だ。当局から連絡を受けた警察が駆けつけ、強制的に解錠したところ、犬を発見したという。その後映像のように2人の職員が犬を虐待し、連れ去ったという流れになる。
残酷な映像に衝撃
残忍な行為を捉えた映像に、ショックを受けた微博ユーザーも多かった模様だ。「最初の打撃をみて、ビデオの再生を止めました」「胸が痛みます。もし自分がオーナーだったなら、何と悲しくみじめな気分になることでしょう」といったコメントが寄せられている。
人道に反するとの指摘の一方で、ペットが飼い主の所有物であることに着目し、財産権の侵害であると憤るコメントもみられた。「ペットはオーナーの私有財産であり、承認なく殺すことは許されない」「市民のプライバシーと財産の安全への侵害だ!」と反発するユーザーも多い。
本件は正当な理由がなく、さらに飼い主の同意もない状態で殺処分が行われたことになる。検査の結果、女性は陰性との結果が出ている。処分されたコーギーもそもそも検査を受けておらず、陽性が確認されたわけではなかった。仮に感染していたとしても、米CDCはペットから人への感染リスクは低いとの見解を示している。
市側は、問題の行動はあくまで職員個人の判断によるものであったと弁明している。職員はすでに免職処分を受けた。しかし微博では、ドアをこじ開けて侵入しペットを殺害したのであれば、責任者の指示があったはずだとの指摘も上がる。