最新記事

中国

コーギー犬をバールで殺害 中国当局がコロナ対策で...批判噴出

2021年11月22日(月)18時50分
青葉やまと

海外でも広く報道

動画は海外でも大きく取り上げられた。英ガーディアン紙は「オーナーの隔離中にペットの犬が殺された一件は、中国のソーシャルメディアに激しい怒りを巻き起こした」と報じている。

中国ではゼロコロナを目指した厳格な対応が続いており、給湯設備もないホテルに自費で隔離を強いられ、衛生面・経済面ともに追い詰められる人々が出ている。ガーディアン紙はこのような背景を踏まえ、コーギーの一件が「継続的に起きているデルタ株のアウトブレイクとの闘いにおいて、保健当局が取っている極端な措置に関し、疑問を生じさせるものとなっている」と指摘する。

ワシントン・ポスト紙は、中国国営メディア『環球時報』の編集長が微博への書き込みを通じて火消しに動いたと報じ、本件が国家規模の関心ごとになった証だと述べている。

問題の書き込みは、強い怒りを示すユーザーたちに「完全に共感する」としている。そのうえで、ジョウジョウ市の感染状況は「緊張状態にあった」とし、当局の対応に一定の理解を示す内容となっている。これに対しワシントン・ポスト紙は、環球時報の編集長が「殺害の矮小化を試みた」と批判的だ。

9月には黒龍江省ハルビンでも、飼い主の検疫中にペットの猫3匹が安楽死させられる事件があった。当該のペットは今回の一件と同様、新型コロナウイルスへの感染が確認されていたわけではなかった。米国営放送のNPRはほかにも、成都や無錫など複数の都市において、飼い主の隔離中に当局が猫を処分するケースが相次いでいると報じている。

デルタ株の出現以降、ゼロコロナ政策はそもそも現実的でないとの指摘も出ている。効果が不透明なその指針のもと、犬や猫などペットが犠牲になっている。

CNN Español

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

利上げの可能性、物価上昇継続なら「非常に高い」=日

ワールド

アングル:ホームレス化の危機にAIが救いの手、米自

ワールド

アングル:印総選挙、LGBTQ活動家は失望 同性婚

ワールド

北朝鮮、黄海でミサイル発射実験=KCNA
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老人極貧社会 韓国
特集:老人極貧社会 韓国
2024年4月23日号(4/16発売)

地下鉄宅配に古紙回収......繁栄から取り残され、韓国のシニア層は貧困にあえいでいる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 2

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ公式」とは?...順番に当てはめるだけで論理的な文章に

  • 3

    「韓国少子化のなぜ?」失業率2.7%、ジニ係数は0.32、経済状況が悪くないのに深刻さを増す背景

  • 4

    便利なキャッシュレス社会で、忘れられていること

  • 5

    中国のロシア専門家が「それでも最後はロシアが負け…

  • 6

    止まらぬ金価格の史上最高値の裏側に「中国のドル離…

  • 7

    休日に全く食事を取らない(取れない)人が過去25年…

  • 8

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 9

    毎日どこで何してる? 首輪のカメラが記録した猫目…

  • 10

    中ロ「無限の協力関係」のウラで、中国の密かな侵略…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なない理由が明らかに

  • 3

    攻撃と迎撃の区別もつかない?──イランの数百の無人機やミサイルとイスラエルの「アイアンドーム」が乱れ飛んだ中東の夜間映像

  • 4

    天才・大谷翔平の足を引っ張った、ダメダメ過ぎる「無…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    「毛むくじゃら乳首ブラ」「縫った女性器パンツ」の…

  • 7

    アインシュタインはオッペンハイマーを「愚か者」と…

  • 8

    犬に覚せい剤を打って捨てた飼い主に怒りが広がる...…

  • 9

    ハリー・ポッター原作者ローリング、「許すとは限ら…

  • 10

    価値は疑わしくコストは膨大...偉大なるリニア計画っ…

  • 1

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが説いた「どんどん伸びる人の返し文句」

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    88歳の現役医師が健康のために「絶対にしない3つのこと」目からうろこの健康法

  • 4

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の…

  • 5

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

  • 10

    浴室で虫を発見、よく見てみると...男性が思わず悲鳴…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中