最新記事

ドイツ

メルケル後のドイツ新政権は日本を見習え

Germany Can Learn From Japan’s China Strategy

2021年11月17日(水)18時21分
ノア・バーキン(ローディアム・グループ編集長)
日独国旗

中国と緊密で複雑な関係にある日本は、新たな環境に適応できるように体制を整えた Oleksii Liskonih-iStock

<中国の台頭とデジタル技術の発展によって景色が一変した地政学的環境に対応が追いつかないドイツ。メルケルの後を継ぐ新政権は、体制改革を行った日本のアプローチを見習うべきだ>

中国との関係において、経済と国家安全保障、そして民主主義的な価値の適切なバランスを見つけることは、ドイツにとって、外交政策上の最大の課題の一つだ。

この点でドイツが日本から学ぶべきことは多い。日本もまた中国との経済的関係が大きい国であり、習近平国家主席の下で中国政府が独裁主義に転じ、国外でも発言力を増していることに警戒感を抱いている。

中国との複雑な関係だけでなく、ドイツと日本には多くの共通点がある。どちらも第二次大戦の敗北と壊滅的な被害から立ち直り、経済および技術大国として頭角を現した。両国の外交政策には平和主義の傾向が強い。そして、安全保障をアメリカに大きく依存している。

重要な違いもある。ドイツは昔、冷戦の最前線にいた。日本は今、新たな冷戦ともいえそうな対立の最前線にいる。この新しい時代には、貿易、技術、安全保障、人権の境界線がどんどん曖昧になっている。国家安全保障の取り組み方もそこに適応させる必要があるが、日本はその点でドイツよりも速かった。

中国の脅威に対応する姿勢

2013年、当時の安倍晋三首相は、日本の外交と安全保障の再編を主導した。それは第二次大戦以降、最も野心的な制度改革だった。彼は国家安全保障会議を創設し、日本初の国家安全保障戦略を発表した。

10月初旬に就任した岸田文雄新首相は、さらに一歩進んで経済安全保障担当大臣という新しい閣僚級の役職を設けた。サプライチェーンの強化や重要なインフラの保護、経済を利用した他国の脅しに対抗するための政府の取り組みを調整する立場だ。

このポストにはツイッター名「@kobahawk」で知られる46歳の前途有望な政治家、小林鷹之が任命された。

岸田首相はまた、中谷元防衛相を内閣総理大臣補佐官(国際人権担当)に任命した。日本がこれまで、外国の人権問題に強い姿勢を取らずにきたことからすれば、これは注目すべき人事といえる。中谷の任命は明らかに、新疆ウイグル自治区と香港における中国の行動と関係している。台湾問題に関してもこの1年、日本は以前よりはるかに積極的になった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米イラン、イスラマバード会談決裂後も対話の余地残す

ビジネス

マクドナルド、米国で新ドリンクを今月導入 クラフト

ワールド

米政権、移民判事をさらに解雇 親パレスチナ学生送還

ビジネス

豪消費者信頼感指数、4月は2年超ぶり低水準 中東紛
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:台湾有事の新シナリオ
特集:台湾有事の新シナリオ
2026年4月21日号(4/14発売)

地域紛争の「大前提」を変えた米・イラン戦争が台湾侵攻の展開に及ぼす影響をシミュレーション

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本は「イノベーションのやり方」を忘れた...ホンダ「EV撤退」が示す、日本が失った力の正体
  • 2
    「いい加減にして...」ケンダル・ジェンナーの「目のやり場に困る」姿にネット騒然
  • 3
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国防軍は崩壊寸前」
  • 4
    【銘柄】イラン情勢で「任天堂」が急落 不確実な相…
  • 5
    トランプがまた暴走?「イラン海上封鎖」の勝算
  • 6
    目のやり場に困る...元アイスホッケー女性選手の「密…
  • 7
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 8
    「仕事ができる人」になる、ただ1つの条件...「頑張…
  • 9
    「違法レベル...」ゼンデイヤの「完全に透けて見える…
  • 10
    BTS再始動、3年9カ月の沈黙を経て──変わる音楽市場で…
  • 1
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文章」...歴史を塗り替えかねない、その内容とは?
  • 2
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収される...潜水艦の重要ルートで一体何をしていた?
  • 3
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 4
    韓国、生理用品無償支給を7月から開始 靴の中敷きで…
  • 5
    「南東部と東部の前線で480平方キロ奪還」とウクライ…
  • 6
    「地獄を見る」のは米国か──イラン地上侵攻なら革命…
  • 7
    停戦合意後もレバノン猛攻を続けるイスラエル、「国…
  • 8
    撃墜された米国機から財布やID回収か、イラン側が拡…
  • 9
    ポケモンで遊ぶと脳に「専用の領域」ができる? ポ…
  • 10
    中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦に…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    米特殊部隊、米空軍兵士救出「大成功」に残る多くの疑問
  • 3
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 4
    古代のパピルスから新たに見つかった「2500年前の文…
  • 5
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 6
    バリ島沖の要衝で「中国製水中ドローン」が回収され…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 8
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 9
    メーガン妃、娘リリベット王女との「お手伝い姿」公…
  • 10
    第6回大会を終えて曲がり角に来たWBC
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中