ロシアが国境で部隊増強、ウクライナを攻める準備か
U.S., NATO, EU Rally to Support Ukraine as Russia Masses Troops on Border
ロシアの侵攻に備えるウクライナ軍兵士(9月24日、ヤヴォリウ) Gleb Garanich-REUTERS
<いつもの脅しなのか、それともクリミアを奪取したときのように本気で攻めてくるのか、米バイデン政権の民主主義を守る覚悟も問われる>
最近になってウクライナの東部国境にロシア軍の部隊が集結している件について、アメリカとウクライナの両国は、これがウクライナへの侵攻作戦の準備の可能性があるとして、ヨーロッパの同盟国に対して警告を発した。
ロシア側がすべては平常通りだと主張し続ける一方で、ウクライナは同盟国に対し、支援と保護を呼びかけている。
「攻撃的なロシアを抑止するには、ロシア政府に対してウクライナの強さを明確に示すだけでなく、ウクライナには強力な同盟諸国がついていてウクライナと共に立ち向かうことを明確にする必要がある」と、ウクライナのドミトロ・クレバ外相は11月10日、アメリカのアンソニー・ブリンケン国務長官との共同会見で語った。
人口4400万人で、長年の武力紛争から軍がいまだ再建途上にあるウクライナは、今回のようなやり方で威嚇や脅迫を繰り返すロシアを激しく非難する。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は2014年にウクライナのクリミア半島を武力で併合しており、これがウクライナの不安をいっそう煽っている。
ウクライナ国防省は、「ロシア連邦がこの地域の緊張状態を継続させ、近隣諸国に政治的圧力をかけるために、定期的に軍の部隊を派遣・結集させる手段に訴えてきたことは、指摘されてしかるべきだ」と述べている。
専制主義に対する戦いの最前線
EU加盟をめざす親欧派ウクライナの主権は、「民主主義と専制主義の戦いのなかでも重要な位置を占める」と考える米政権は、ウクライナの支援の求めに応えようとしている。
アメリカ国務省は、両国間の戦略的パートナーシップを今後も順守し、適切な機密情報の共有や、軍事技術開発における連携、ウクライナ軍(UNA)への投資などを行う意向だという。
ブリンケンはウクライナ外相との共同会見で、「ウクライナの独立、主権、領土の保全に対するアメリカの支持は非常に強固なものだ」と発言し、この地域における政治、経済、安全保障面でのウクライナの重要性を強調した。
ヨーロッパの同盟諸国も、ウクライナの支援に乗り出している。欧州の28カ国(とアメリカおよびカナダ)で構成される軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)は、クリミア半島とウクライナの国境沿いの地域におけるロシアの軍備増強を公に糾弾。
NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はロシアに対し、西側諸国の軍事同盟であるNATOはウクライナ支持の立場を堅持していると警告し、ツイッターにこう投稿した。「NATOは、ウクライナの国境付近におけるロシア軍の大規模かつ異常な集結を注視している。我々はロシアに対し、透明性を保ち、状況の深刻化を防ぎ、緊張を緩和するよう要求する」