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モーリー・ロバートソンが聞く、シニア世代がJICA海外協力隊で切り拓く可能性

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2021年11月30日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版広告制作チーム
浅海奈津美氏とモーリー· ロバートソン氏

56歳、60歳と2度にわたって、独立行政法人国際協力機構(JICA)のシニア海外協力隊の活動をまっとうした浅海奈津美氏(右)と国際ジャーナリストとして活躍するモーリー・ロバートソン氏

<作業療法士などを長年務め、56歳でパラグアイ、60歳でタイと、2度にわたって合計4年間のJICA海外協力隊の活動をまっとうした浅海奈津美氏。なぜ参加したのか。不安はなかったのか。協力隊での経験と、その後の活動についても聞いた>

開発途上国での課題解決を目的とし、独立行政法人国際協力機構(JICA)が1965年から派遣を続けているJICA海外協力隊。現在は69歳まで応募することができ、これまでの人生で培った専門的な技術や知識、経験を生かしたいというシニアが増えている。

協力隊経験者と国際ジャーナリストとして活躍するモーリー・ロバートソン氏との対談から、シニア世代の活躍ぶりに光を当てる。

◇ ◇ ◇

興味を持ったきっかけは、協力隊経験者の働きぶり

ロバートソン JICAシニア海外協力隊の活動に参加する前は、どんなことをされていたのですか。

浅海 老年期を専門とする作業療法士として、病院や特別養護老人ホームで働きました。大学で作業療法について教えた後、東京の山谷地区でホームレスの人たちの支援NPO関連組織でケアマネジャーとして働きました。

ロバートソン 山谷での仕事は一筋縄ではいかないように想像します。自ら飛び込んだ理由は?

浅海 日雇いで働き歳を重ねた単身の男性が多く暮らす、人口の高齢化率が高い地域です。ある意味、東京の未来を先取りしていると思い、自分の専門性で何に貢献できるかを探ってみたかったのです。

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モーリー・ロバートソン(Morley Robertson)/1963 年ニューヨーク生まれ。日米双方の教育を受け、東京大学とハーバード大学に同時合格。東京大学在中にプロミュージシャンとしてデビュー。4ヶ月で東京大学を退学しハーバード大学へ。卒業後は国際ジャーナリスト、ミュージシャン、コメンテーター、俳優など、さまざまな分野で活躍。多くのメディアで仕事をするほか、富山県氷見市の政策参与や観光親善大使なども務めている。

ロバートソン 急峻な坂を見ると上りたくなるような性格なのですね。浅海さんからは、鯉が滝を登るようなパワーを感じます。

浅海 いえいえ。私は明日できることは今日しないタイプ(笑)。そのNPOには協力隊経験者が何人もいて、彼らが自分の頭でしっかり考えながら仕事を進めている姿を見て尊敬していました。あやかりたいと思い、JICA海外協力隊の説明会に参加したのです。

ロバートソン そして、JICAシニア海外協力隊としてパラグアイの首都アスンシオンへ。どうでしたか。

浅海 当時、私も夫も両親が他界した後で、2年間日本を不在にすることについては身軽でした。それから、私は56歳でしたが、帰国後に協力隊の経験をもとに何かに挑戦するにしても、年齢的に余裕があったことはよかったです。

パラグアイから帰国して、1年半後に今度はタイへ赴任

ロバートソン パラグアイでは日系社会に暮らす高齢者をサポートしていたのですね。直接介護をされていたのですか。

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浅海奈津美(Natsumi Asami)/1956年東京都生まれ。作業療法士として20年以上働いた後、北里大学で専任講師、東京・山谷地区でケアマネジャーを経験。56歳でJICAのシニア海外協力隊へ応募し、パラグアイ日系社会の高齢者をサポート。60歳で、タイの大学で作業療法士の養成教育支援活動に取り組んだ。帰国後、神戸大学のJICA草の根技術協力事業でベトナムに赴任。コロナ禍で帰国。

浅海 現地では専門職といえども他人が家に入ることを歓迎しない人も多く、高齢者宅を訪問して何かを直接指導することはありませんでした。パラグアイの日系コミュニティでは、子育てが一段落した世代の女性を中心とする高齢者支援の地元ボランティアが活躍しています。彼女達に対して、介護予防に役立つ知識や技術の伝達、手引書の作成などを行いました。

ロバートソン そして2年後に帰国し、1年半後には再び協力隊としてタイのチェンマイへ。今度はどんなことをされたのですか。

浅海 私の専門である老年期の作業療法で勝負がしたいと思い応募しました。主な活動内容はチェンマイ大学の作業療法学科の学生の臨床実習に同行し、教員や学生に助言や指導を行うことでした。

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