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モーリー・ロバートソンが聞く、シニア世代がJICA海外協力隊で切り拓く可能性

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2021年11月30日(火)11時00分
ニューズウィーク日本版広告制作チーム

ロバートソン 実習について、貢献できたと印象に残っている具体的な例があれば教えてください。

浅海 寝たきりに近い患者さんがいて、教員の指導のもとで学生はその方の身体がそれ以上弱ったり、動かなくなったりしないように訓練していました。でも本来の作業療法の目的は、自分にとって意味のある作業を、その人が主体性を持って行えるよう支援し、作業することによって、その人が健康を取り戻していくことにあります。

その患者さんは少しだけ手を動かせたので、寝た姿勢でも軽い道具を操作できるような工夫を提案し、道具を作ったりもしました。すると私がタイを離れて1年後、その方が筆を少しずつ動かしながら、とても明るい色彩の絵を描いている動画が送られてきました。このような取り組みを通して、作業療法の本質を少しは伝えられたのではないかと思います。

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将来指導的立場に立つ作業療法学科の学生に、介護者の腰痛を予防する「持ち上げない移乗介護」の指導をしているところ。教員も学生も英語が堪能で、やり取りはすべて英語。

ロバートソン いい話ですね。私が通っていたヨガスクールでは、たまに海外からスターのような先生が来てレッスンを行うのですが全然違う。心が開かれてインスピレーションが湧き上がり、最後には閃きが生まれる。浅海さんもそんな貢献をしたのかもしれません。

浅海 作業療法の核心の片鱗を伝えることができたのかなと思います。でも変化が訪れるまでタイにいたわけではないので、その後の教員の力も大きいと思います。

開発途上国で経験したのは、"支援"ではなく"シェア"

ロバートソン 協力隊のおかげだとはっきりしていなくても、協力隊が去った後に何かが変わっていればいいですよね。

浅海 ええ。私達は黒子のような存在でよい。先輩の協力隊員からは、焦らないでよいと言われて、行ってみたら本当にその通りでした。あまり意気込みすぎず、じっくり構えることも大切でした。

ロバートソン 日本は治安が良くて当たり前。衛生環境も素晴らしく、水道水が飲めること自体がすごい。アスンシオンやチェンマイに行くと大変じゃないですか。

浅海 アスンシオンの銀行では、警備員がマシンガンを携帯しています。でも日没後は一人で外出しないとか、安全についてはJICAが指導してくれます。何かあれば現地職員が駆けつけてくれますし、そんな支援のおかげで安心して活動できた側面はありました。

ロバートソン 開発途上国ではマニュアルに載っていないことが起きたり、今まで学んだことが役に立たなかったりします。自分の判断で何かをしなければならないことが頻繁に起きると思うのですが、どうやって乗り切るのですか。

浅海 そんなものかなと受け止めて過ごしました(笑)。パラグアイではアパートのトイレの天井が落ちたことがありました。でもいずれは帰国する身として、どんなことでも貴重な体験として楽しむようにしました。2年の期間は、活動が軌道に乗り、もう少し続けたいという頃に終わる長さ。でも後ろ髪を引かれながら終わるぐらいがちょうどよい気がします。

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JICAシニア海外協力隊の経験後、ベトナムへ。作業療法が未確立のため、医師や理学療法士に講義や実技指導を行い、理解を促す。コロナ禍で帰国後はオンラインで対応した。

ロバートソン 最後にJICA海外協力隊の活動を終えてベトナムへ行ったときの話をお願いします。

浅海 神戸大学の教授から、ベトナムで作業療法士を育成するプロジェクトに協力してほしいと言われました。ハノイ市内の病院を回り、作業療法を理解し推進してもらうための活動をしました。

協力隊の経験から学んだことは、援助しようと上から目線で意気込むのではなく、歴史文化社会の異なる相手とお互いの体験を学び合い、分かち合いながら一緒に進むというシェアの精神です。日本の後輩達に、このような経験を伝えていくのが、今の私の務めだと感じています。

※対談は新型コロナウイルス感染症予防対策を講じた上で実施しています。

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