株式インデックス投資、何が良いか──先進国株、新興国株、米国株と日本株、どれを選ぶ?

2021年10月11日(月)19時30分
熊紫云(ニッセイ基礎研究所)

世界の各国・地域を代表するインデックスもある。米国ニューヨークに本拠地があるMSCI社が算出するインデックスシリーズが投資信託によく採用されている。MSCIコクサイは米国、イギリス、フランス、カナダ等の先進国株式が組み入れられているが日本株式は除かれている。一方で、MSCI WorldはMSCIコクサイと異なり、日本株式が組み入れられている。MSCIエマージング・マーケッツ(EM)は中国、韓国、インド、ブラジルなどの新興国株式が組み入れられている。先進国と新興国の両方の株式を組み入れているのがMSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)である。

nissei20211011165401.jpg

2|代表的な株式インデックスの過去の推移

国内外における代表な株式インデックスの過去の推移を振り返ってみよう。

日本から見た代表的な4つの金融・経済危機を取り上げ、株価暴落を挟む形で以下の期間に分けてそれぞれ見ていきたい。

・日本バブル崩壊直前からITバブル崩壊直前まで(1990年初~2000年2月末)

・ITバブル崩壊直前からリーマン・ショック直前まで(2000年2月末~2007年10月末)

・リーマン・ショック直前からコロナ・ショック直前まで(2007年10月末~2019年12月末)

・コロナ・ショック直前から現在まで(2019年12月末~2021年9月末)

株式インデックスには通常ニュースで報道されるプライスインデックス(PI、Price Index)だけでなく、トータルリターンインデックス(RI、Total Return Index)もある。トータルリターンインデックス、つまり配当込み指数は、構成銘柄の価格変化等によるキャピタルゲイン(売却益)だけでなく、分配金の再投資等によるインカムゲイン(配当収益)も反映しているため、常にプライスインデックスを上回る5。本稿では、投資信託の運用成績を表すのに用いられるトータルリターンインデックスを原則的に取り上げる6。

また、株式インデックス以外の資産クラスのインデックスとの値動きの違いを説明するため、リーマン・ショック以降の期間に限り、国内債券を代表するインデックスであるNOMURA-BPI(総合)と国内の上場不動産投資信託のJ-REITを比較対象として加えている。

────────────────
5 S&Pダウ・ジョーンズ・インデックス社の指数の基礎情報「インデックス・リテラシー」サイトを参照した。

6 ナスダック100のRIは2003年9月24日から算出された。本稿では、ナスダック100のパフォーマンスを保守的に示すため、1989年12月末から2003年8月末までPIを使用した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英消費者信頼感指数、4月は23年11月以来の低水準

ビジネス

3月ショッピングセンター売上高は前年比2.8%増=

ワールド

ブラジル中銀理事ら、5月の利上げ幅「未定」発言相次

ビジネス

米国向けiPhone生産、来年にも中国からインドへ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは?【最新研究】
  • 2
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 5
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 6
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 9
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 10
    欧州をなじった口でインドを絶賛...バンスの頭には中…
  • 1
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 2
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中