株式インデックス投資、何が良いか──先進国株、新興国株、米国株と日本株、どれを選ぶ?
過去のデータを見る限り、結論として以下のことが言えると思う。
〇投資後に価格が下がっても慌てて売ることなく、辛抱強く持ち続け、価格上昇を待つ長期投資が良い。但し、老後が近くなった段階で、価格が上がり、十分満足できる資産が形成できたら、躊躇なく売却することもとても重要である。
〇株式インデックスとしては、米国株(ナスダック100、S&P500、ダウ平均)、米国株が7割以上を占める先進国株(MSCIコクサイ)などをはじめ、収益力、成長力が期待できるインデックスが良い。尚、インデックス投資ではリターンは同様なので、コストが安いものを選ぶべきである。
〇当然ながら、投資においては分散投資が重要と言われているため、通常は値動きが違う他の資産クラスへの投資も考えられる。しかし、最近の傾向として各種株式インデックスの値動きの連動性が高まってきており分散投資のメリットは小さく、一方で、国内債券投資は利回りが低すぎるため、投資するメリットは小さい。長期的な資産形成のための資金であれば、株式インデックス投資をメインに投資するのが良いのではないかと思う。
これまで一括投資を前提に、長期投資なら株式インデックス投資をメインに投資することを勧めたが、積み立て投資の場合でも結論に変わりはない。株価下落直前という最悪の条件に一括投資していた場合でも株式インデックス投資メインが良いのだから、最悪期に限らず、株価下落後の最良期にも投資する積み立て投資ならば、なおのこそ、株式インデックス投資をメインに投資することをお勧めする。
尚、これから人生100年時代の資産形成を考える方が株式インデックスに投資する場合には、税制上の優遇措置がある確定拠出年金(企業型や個人型のiDeCo)やつみたてNISAを利用すべきであると思う。さらに余裕がある場合は特定口座で株式インデックス投資から始め、慣れてきたらアクティブ型の投資信託に投資するのも良いと思う。まずは、手元に資金があれば、勇気を出して、株式インデックスに投資してみてはどうだろうか。
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8 いずれも2021年3月末のデータ。2021年8月20日日本銀行調査統計局「資金循環の日米欧比較」より。
(参考文献)
水野友理那「米国株式インデックス投資、どれを選べば良いのか-S&P500 vs ダウ平均 vs ナスダック100」https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=67140?site=nli
水野友理那「国内外の株式投資は何から始めればよいか-外国株式インデックスファンドの基礎知識」https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=65045?site=nli
[執筆者]
熊紫云(ゆうしうん)
ニッセイ基礎研究所
金融研究部 研究員