台湾緊張、飛来した中国機の数だけでなく編成が物語る本気度
Taiwan Official Calls China Situation “Most Severe”in Decades
軍備の刷新と拡大を急速に進めてきた中国は、今回のオペレーションで軍用機の性能と操縦技術の向上を見せつけたと、台湾のシンクタンク・国防安全研究院の研究員Chen-Yi Tuは言う。
わずか2、30年前まで中国空軍は空中給油もできなかったと指摘するのは、スタンフォード大学フリーマン・スポグリ国際研究所の研究員、オリアナ・マストロだ。
「その頃とは状況が変わり、今では自分たちにも複数の選択肢があると、中国はアメリカと台湾に見せつけたいのだろう。自分たちはやりたいことをやる、抑止力など効かない、と」
一方で、民主主義国が続々と台湾支援を表明し、台湾近海での合同演習に参加している。
中国が軍用機を台湾のADIZに飛ばしたまさにその時期、アメリカ、イギリス、オランダ、カナダ、ニュージーランドの5カ国の海軍と日本の海上自衛隊は「自由で開かれたインド太平洋」構想の一環として、日本の沖縄と台湾北東部に近い海域で、空母3隻と日本のヘリコプター搭載護衛艦1隻を含む17隻の艦船による合同演習を実施した。
日本も中国の脅威を認識
9月末には英海軍の空母打撃群所属のフリゲート艦「リッチモンド」が台湾海峡を通過したことを公式ツイッターで明らかにした。中国はこれに猛反発し、「陰湿な意図による無意味なプレゼンスの誇示」だと非難した。
自国の行動はアメリカの動きに対抗するものだと、中国は繰り返し主張してきたが、民主主義陣営はこれを認めず、海事に関する国際法と国際的な規範を守り抜くという明確な意思表示をしていると、グレアムは言う。
「イギリスが2008年以来初めて台湾海峡に艦船を派遣し、中間線に沿って航行させたのは、この線を越えることは許さないと中国側に警告するためだ」
中国を牽制するため、9月にイギリスとアメリカから技術供与を受けて原子力潜水艦を建造する計画を発表したオーストラリアも、今回の中国軍機の飛行を非難している。
これまで長年、重要な貿易相手国である中国と良好な関係を保とうとしてきた日本も、東シナ海や台湾海峡における中国の挑発的な行動のエスカレートを自国の安全保障に対する脅威とみなすようになった。