【現地ルポ】リベラル州ハワイ、全米トップクラスのコロナ対策とその反動
しかし、デルタ株の影響によって8月上旬からは感染が急拡大し、人口約140万人のハワイで1日当たりの新規感染者が1000人を超える日もあった。
こうした状況下でホノルル市のリック・ブランジャルデイ市長は「セーフ・アクセス・オアフ」プログラムを発表。これにより9月13日からホノルル市を含むオアフ島全体では、レストランや映画館といった屋内施設の従業員にワクチンの接種完了が義務付けられ、利用者には接種証明の提示が求められるようになった(従業員の場合は陰性証明を毎週提示、利用者は48時間以内の陰性記録の提示でも可とされている)。このプログラムは60日間続く予定だ。
コロナ対策による生活の変化は、筆者自身、日々感じている。
例えば、接種記録提示の義務はショッピングモールのフードコートでも適用されており、接種証明を見せなければ席に座って食べることはできない。一方、ある大型スーパーのフードコートでは机と椅子が端に寄せられており、利用不可となっている。こちらでは市の厳しい規則に対応することが困難なことから、フードコートでの食事を一律中止する方向に舵を取ったようだ。それぞれの店が対応に追われている。
結束を呼び掛ける団体も
このような厳しい感染対策に対して、ホノルルでは反発も起きている。
ここ最近ワイキキでは毎週「フリーダム・メガ・マーチ」と称されたデモが実施されている。主催しているのは「アロハ・フリーダム連合」という団体で、ホームページにはハワイにおけるロックダウンや義務化によって「不当な扱いを受けている全ての人々を団結させるために2020年9月に設立された」と記されている。
パンデミックに対する連邦・州・郡の対応について、政府の政策や指示は不透明であり、合衆国憲法によってアメリカ人に与えられている権利を考慮していないと主張してきた。
そもそもコロナ対策への抗議自体、今に始まったことではない。オアフ島における昨年8月の2回目のロックダウン後には、ホノルル市庁舎付近にデモ隊が集まってロックダウンやマスク着用義務に抗議した。コロナ対策への反発は昨年から続いており、その様子は現地メディアによって報じられてきた。