オンライン授業の拡大を妨げる家庭のIT環境格差
地域によっては7割の学校で、家庭の周辺機器の不足がリモート授業の支障となっていた kohei_hara/iStock.
<全国的に各家庭でのPC端末、通信環境の不足がオンライン授業の支障となっていて、都市部と地方での格差も大きい>
昨年は新型コロナウイルスの影響で、全国の学校が一斉休校を迫られた。それに伴いオンライン授業などが導入された。初めての試みだったが、なかなか一筋縄ではいかなかったようだ。円滑な実施を妨げたのは、十分な通信環境がない家庭が少なくなかった実態だ。
これを受け、今年の『全国学力・学習状況調査』では、2020年4月以降の臨時休校中、家庭でのICT(情報通信技術)学習に際して支障となったことを問うている。①家庭の端末(PC等)の不足、②家庭の周辺機器(カメラ等)の不足、③家庭の通信環境(無線LAN等)の不足、ということがオンライン教育の支障となった学校はどれほどあったのか。<図1>は、「当てはまる」と答えた小学校の割合だ。公立・国立・私立に分けて示している。
量的に多い公立を見ると、支障になったという学校の割合は、家庭の端末の不足が48.0%、家庭の周辺機器の不足が52.0%、家庭の通信環境の不足が41.5%、となっている。オンライン教育をしようにも、PCがない、カメラがない、Wi-fiがない家庭が多く、困り果てたという学校が少なからずある。
だが、ごく限られた階層(約1%)の子弟が通う国立小・私立小となると、これらのリソースの不足がネックになったという学校は、公立と比較してずっと少ない。身もふたもないが、在籍している児童の家庭環境の違いが出ている。