アフガン自爆テロ、ISからシーア派を守りたいイランからの警告
Iran Warns Against 'Divisive Schemes' in Afghanistan as ISIS Wages War Across Ethnic Lines
15日、ISによる自爆攻撃で50人以上が犠牲になったアフガニスタン南部カンダハルのシーア派モスク WION-YouTube
<連続するアフガニスタンでのテロにISが犯行声明を出す理由は何か――それはタリバンを陥れ、イランを挑発する計画かもしれない>
イラン外務省は本誌に対し、アフガニスタンの分裂をねらう過激派組織イスラム国(IS)の計画について警告を伝えた。ISは異なる民族の襲撃者を使って同国のシーア派イスラム教徒コミュニティに対する新たな攻撃を企んでいるという。
アフガニスタンとパキスタンで活動するISの分派、イスラム国ホラサン州(ISIS-K)は、10月15日にアフガニスタン南部カンダハルのシーア派系モスクで起きた爆発の犯行を認める声明を出した。
礼拝中に行われた自爆テロで、50人を超える死者が出た。犯人として特定されたのは、アナス・アル=ホラサニとアブ・アリ・アル・バロチで、いずれもイラン東部・アフガニスタン、パキスタンを含む旧地名である「ホラサン州」や、アフガニスタン、イランと接するパキスタンの「バロチスタン州」にちなんだ呼び名とみられる。
この自爆テロの1週間前に、アフガニスタン北部クンドゥズ州にあるシーア派モスクで起きた爆発では、死者は100人にも達した。ISIS-Kはこの自爆テロについても犯行を認め、実行犯としてモハメド・アル=ウイグリリの名を挙げた。これは中央アジアのウイグル人少数民族とのつながりを示す名だ。
イランがISを非難
10月3日には、首都カブールにあるスンニ派イスラム教のモスクが攻撃された。現在アフガニスタンを支配しているタリバンは、この混乱状態をなんとか抑えようとしている。
一方、シーア派イスラム教国として世界最大の隣国イランは、特定のイスラム教徒をイスラム教の理想から逸脱した「背教者」とし、存在を認めないISのような「タクフィール主義者」を非難するメッセージを出した。
イラン外務省は本誌にあてた声明のなかで、「タクフィール主義のテロリストたちを操り、アフガニスタンで金曜礼拝を行っていた多くの抑圧された人々の血を流した連中こそイスラム教の敵だ」と述べた。
同省は「多くの礼拝者の死と負傷をもたらしたカンダハルのファテミー・モスクにおけるテロ攻撃を強く非難する」と述べた。また「殉教者の名誉ある家族と親愛なるアフガニスタンの人々に哀悼の意を表し、遺族に忍耐と神聖な報酬を、そしてこの非人道的な犯罪で負傷した人々の迅速な回復を祈る」。
そして、イラン政府もイスラム教徒の共同体を意味する「ウンマ」に警告を発した。
「外務省は分裂を引き起こすイスラム共同体の敵による陰謀を警告し、シーア派とスンニ派の団結の必要性と、イスラムの名の下に暴力と過激主義を拒絶する必要性を強調する」と同省は述べた。