最新記事

歴史

ヴィンランド・サガ? ヴァイキングがコロンブスより約500年早くアメリカ大陸に到達していた

2021年10月22日(金)16時58分
松岡由希子

カナダ北東部ニューファンドランド島の遺跡「ランス・オ・メドー」 Dylan Kereluk from White Rock, Canada-wikipedia

<カナダ北東部ニューファンドランド島の遺跡を分析し、西暦1021年にヴァイキングがアメリカ大陸に入植していたことがわかった>

1492年に西インド諸島のサン・サルバドル島へ到達したイタリア出身のクリストファー・コロンブスは、アメリカ大陸を発見したヨーロッパ人として広く知られている。コロンブスによるアメリカ大陸の発見から数百年前、すでにアメリカ大陸へ達していたのが北ゲルマン人のヴァイキングだ。

ヴァイキングは西へと移動して、アイスランドやグリーンランドに移住し、カナダ北東部ニューファンドランド島の遺跡「ランス・オ・メドー」にもその痕跡が残されている。

西暦1021年にヨーロッパ人がアメリカ大陸に入植していた

蘭フローニンゲン大学とカナダ国立公園管理局の共同研究チームは、「ランス・オ・メドー」から出土した木片を分析し、ちょうど1000年前にあたる西暦1021年にヨーロッパ人がアメリカ大陸に入植していたことを示す研究論文を学術雑誌「ネイチャー」で発表した。これは、人類が大西洋を渡って移住した既知で最も早い記録だ。

分析対象となった3つの木片はそれぞれ異なる種の針葉樹で、いずれも当時の先住民が生産することのない金属でできた刃で伐採されていた。このことから、これらの木片はヴァイキングのものであったと考えられる。

研究チームは、放射性炭素「炭素14」の量をもとに生物由来の炭素系物質が存在した年代を推定する「放射性炭素年代測定」を用いて木片の年輪を分析した。放射性炭素は宇宙空間から入射する宇宙線と大気中の窒素の反応によって地球の高層大気で生成され、その一部が年輪に残されている。宇宙線は太陽活動と関連しているため、放射性炭素濃度の急激な上昇は、しばしば太陽フレアや太陽嵐などが起こった形跡と解釈される。

これまでに世界中の年輪で992年から993年までの間に放射性炭素の濃度が顕著に上昇したことが確認されている。これら3つの木片も同様に、樹皮の縁から29年さかのぼった年輪で放射性炭素濃度の急上昇が認められた。このことから、これらの木片は1021年に伐採されたと推定される。

「アメリカ大陸の発見の新たな基準点となる」

一連の分析結果は、北ゲルマン人が1021年に北米大陸で活動していたことを示すものだ。また、研究チームはこの研究成果の意義について「ヨーロッパ人によるアメリカ大陸の発見の新たな基準点となる」と述べている。

Vikings at L'Anse aux Meadows | Les Viking à L'Anse aux Meadows


By the Numbers: Vikings arrived in North America 1,000 years ago

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、新関税導入へ不公正貿易調査開始 日本も対象

ワールド

トランプ氏「ホルムズ海峡を注視」、戦争は「良い状況

ビジネス

アトラシアン、10%の人員削減 AI対応にシフトへ

ビジネス

アラムコ、アジアに紅海経由の原油購入量の13日まで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 2
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃に支持が広がるのか
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    「邪悪な魔女」はアメリカの歴史そのもの...歌と魔法…
  • 7
    イランがドバイ国際空港にドローン攻撃...爆発の瞬間…
  • 8
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 9
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで…
  • 8
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 9
    中国はイランを見捨てた? イランの「同盟国」だっ…
  • 10
    中国、4隻目の空母は原子力艦か──世界3番目の原子力…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中