最新記事

詐欺

スマホを貸しただけなのに... メッセ機能で10万円超奪う詐欺が横行

2021年10月13日(水)17時56分
青葉やまと

地元シャーロット警察は、Venmoだけでなくモバイル決済大手のCash Appなど、送金アプリ一般で同様の詐欺被害が起き得るとして注意を呼びかけている。当時WCNCは「あなたの身にも起きるかもしれない」と警鐘を鳴らしていたが、まさに懸念どおり複数の被害が発生している。

地域情報を共有するアプリ「ネクスト・ドア」上では、類似の被害に遭ったという報告がほかにも複数件寄せられている。詐欺師の男はスマホ自体を本人に返却してから立ち去っているため、被害者側が送金通知のメールに注意を払わなければ、不正行為に気づくこと自体が困難だ。このため実際の被害件数は、報告されている件数を上回る可能性がある。

対処法は

類似の被害はVenmoに限らず、日本国内で普及している送金アプリでも起こり得る。メッセージアプリから直接呼び出せる送金機能という意味では日本は米国と事情が異なるが、目を盗んで送金アプリを直接立ち上げられてしまえば状況は同じだ。

自衛策としてWCNCは、送金アプリの設定を確認し、アプリ使用時にパスコード入力または顔認証などを求める設定に変更するよう推奨している。この設定により、例えばiOSのiMessage内からVenmoを通じて送金する際も、認証が必須となる。

スマホ自体にもロック機能はあるものの、電話をかけたいと相手に頼まれてスマホを貸す場面では、スマホ自体のロックは必然的に解除した状態で渡すことになるだろう。それだけに、このように別の手段でセキュリティを高めることが有効だ。

より原始的な手段としては、スマホを決して相手に操作させないことが役立つだろう。手元に置いたままスピーカーフォンで通話させることで、アプリを操作される可能性を低減できる。

シャーロット警察は「詐欺師を見抜くのは簡単ではない。彼らは頭の回転が早く非常に信用でき、そして大胆だ。質問を投げかけて、注意深く耳をそば立て、プレッシャーをかけられないようにすることが決定的に重要だ」とアドバイスする。善意の人助けに警戒心が求められるとは寂しいが、大切な財産を守るために心に留めておきたい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

訂正-野村HD、国内初のVC投資型デジタル証券発行

ワールド

仏大統領が訪中へ、脅威に対処しつつ技術へのアクセス

ワールド

アングル:トランプ政権のAIインフラ振興施策、岩盤

ビジネス

中国万科の債券価格が下落、1年間の償還猶予要請報道
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 7
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 8
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 9
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 10
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中