比ドゥテルテ、支持率急落 奇策の副大統領出馬が憲法違反の疑い
フィリピンのドゥテルテ大統領への批判の声が高まっている Eloisa Lopez - REUTERS
<トップからナンバーツーを目指す男。その真の狙いとは?>
2022年のフィリピンの大統領選挙で副大統領選への出馬を決めたドゥテルテ大統領への国民の支持率が低下している。同国の民間調査機関「パルス・アジア」による世論調査の結果明らかになったもので、地元マスコミも一斉にその結果を伝えている。
ドゥテルテ大統領は2016年の大統領就任後、麻薬取締対策などで強硬とも非難された手法で辣腕を振るい、国民からは常に80%前後という高い支持率を誇ってきた。それがここにきて急に低下傾向を示し始めているのだ。
その人気下降の一番の背景には2022年5月に行われるフィリピンの次期大統領選挙に副大統領として出馬することへの反発があるのは間違いないとされている。
フィリピンでは憲法の規定により、大統領の任期は「1期6年」と決められており、再選は禁止されている。このためドゥテルテ大統領は次期選挙に大統領として出馬することは憲法違反となるため不可能だ。
そこでドゥテルテ大統領が名誉総裁を務める最大与党「PDPラバン」から指名を受ける形で副大統領への立候補を決める、「奇策」ともいえる出馬となった経緯がある。
憲法違反の可能性も指摘
ところが出馬直後からその「奇策」に対して学者や国会議員の中から「大統領経験者の副大統領出馬には憲法上問題が残る」との指摘が相次いだ。
これまでフィリピン史上、大統領経験者が副大統領に就任した前例はない。もしドゥテルテ大統領が副大統領選で勝利して就任した場合、就任そのものは憲法違反とはならない。
しかし、副大統領在任中に新たに選ばれた大統領が健康上の理由や死亡、弾劾など何らかの理由で「大統領としての職務を履行することが困難になった」場合、副大統領がその職務を継ぐことになっており、そうなると「大統領の再選禁止規定」に抵触し、憲法違反になるというのだ。
副大統領候補としての支持率14%
「パルス・アジア」は9月6日から11日にかけて2400人を対象にした世論調査を実施。その結果、副大統領候補としてのドゥテルテ大統領の支持率は14%。同じく副大統領に出馬を表明しているソト上院議員は支持率25%でトップとなり、ドゥテルテ大統領は2番手に甘んじる結果となった。