比ポストドゥテルテはプロボクサー? パッキャオ出馬で最大与党の派閥抗争が浮き彫りに
「PDPラバン」の一部派閥から大統領選候補として指名されたマニー・パッキャオ上院議員。写真は8月21日、ラスベガスでWBA世界ウェルター級の王者ヨルデニス・ウガスと対戦したときのもの。USA TODAY USPW - REUTERS
<国家元首を擁する与党内で、派閥争いが繰り広げられるのはどこの国でも同じようで──>
フィリピンの最大与党「PDPラバン」の一部派閥は9月19日、開催した会議で同党所属のプロボクサー、マニー・パッキャオ上院議員を2022年5月に実施される次期大統領選挙の大統領候補として指名。パッキャオ氏が指名を受諾したことで同党の正副大統領候補が出揃った。
「PDPラバン」は9月8日にルソン島中部パンパンガ州サンフェルナンド市で開催した全国党大会でドゥテルテ大統領を支持する主流派閥が彼を副大統領候補に指名し、本人もこの指名を受諾した。一方でこのとき大統領候補として指名されたクリストファー・ボン・ゴー上院議員は指名を辞退。同党の正式な大統領候補は未定の状態が続いていた。
そうした「大統領候補者空席」の状況の中で開催された今回の一部会派によるパッキャオ氏の大統領候補指名・受諾に対し、てドゥテルテ大統領を支持する主流派閥は反発を強めている。そのため今後党内抗争が激化する可能性が高く、政治的混迷が大統領選に影響を与えそうな気配となっている。
反目しあう党内派閥の争い激化
19日の「PDPラバン」一部会派によるパッキャオ氏大統領候補指名は地元マスコミで大きく伝えらえたが、同時にドゥテルテ大統領を支持する主流派閥は「パッキャオ氏の指名は党の総意を反映していない」と批判。逆にパッキャオ氏を指名した派閥は「ドゥテルテ大統領を副大統領に指名した一派による党の乗っ取りは許さない、党は一つでありわれわれは戦う」と相手を非難。それぞれ相手の候補者を認めない立場を明らかにし、対立が激しくなっている。
最大与党「PDPラバン」内部では以前からドゥテルテ大統領支持派とパッキャオ上院議員支持派による主導権争いがあり、必ずしも一枚岩ではなかった。
そうした状況でドゥテルテ大統領の側近であるボン・ゴー上院議員が大統領候補指名を拒絶したことで、大統領候補の指名が党内で再調整されることになり、パッキャオ氏指名の動きが高まり、支持派が一気に指名に持ち込んだ結果だった。