最新記事

睡眠

寝苦しい暑い夜には「全裸でベッド」...たしかな安眠効果が認められる

Is It Better to Sleep Naked?

2021年9月1日(水)19時37分
エレノア・リーズ
全裸睡眠

個人差はあるが裸で寝ることには安眠効果が期待できる 4X6/ISTOCK

<体温の低下が質のよい眠りをもたらし、解放感やパートナーとの絆の深さも味わえる>

夏の夜に困るのが、暑さでうまく寝付けないことだ。その手っ取り早い解決法として、パジャマを脱いで裸で寝る人もいる。

睡眠について詳しい臨床心理士のカーラ・マンリーによれば、裸で寝ることがいい睡眠をもたらすかどうかは基本的には各人の好みの問題だ。一見些細なことであっても、自分にとっての快不快を無視するといい眠りを得られなくなる可能性があるという。

「暑さのあまり裸で寝るのを好む人もいれば、寝間着を着ることによる締め付け感がなくて気持ちいいという人もいる」とマンリーは言う。「一方で寝間着を着るのが好きな人が裸で寝ると、心もとない気がしてぐっすり眠れないかもしれない」

裸であれば体の熱を冷ますことができるという点も見過ごせないだろう。不眠に悩む人々へのセラピーを行っているソムヌス・セラピーの睡眠心理の専門家、キャサリン・ホールによれば、体温は睡眠において重要な役割を果たしている。

「睡眠は体の中心温度が下がったときに起きる」とホールは言う。「そして体温の低下は睡眠ホルモンのメラトニンの分泌に合わせ、眠りに就く2時間くらい前に始まる。体温が少し下がると、心拍や呼吸、消化のペースも落ちる。質の高い眠りへの完全なリズムへと体をいざなうのだ」

間違いなくよい睡眠の要因の1つ

マンリーも言う。「体温の低下は『寝る時間が来たよ』という脳に対する合図だ。体温が下がることと睡眠の質が上がることの間に相関関係があるということは、裸で寝ることも(よい睡眠の)要因の1つに間違いなくなり得る」

睡眠の質が上がれば、心身共にいい影響が出るはずだ。「裸で寝ることが睡眠全般の改善につながるのだから、脳の健康を改善したり、心疾患や糖尿病や体重増の予防、集中力アップの効果も期待できる」とマンリーは言う。

「体を冷やすことで、よりしっかりとノンレム睡眠が取れるという研究もある」とホールも言う。「心身を回復させる効果の高い睡眠が取れるということだ」

また、パートナーと一緒のベッドに寝ている場合、肌を触れ合わせて眠ることで、絆を深めるホルモンの分泌につながるとマンリーは言う。「オキシトシンというホルモンは抱っこホルモンとも言われるが、その値が上昇し、幸福感をもたらしてくれることが多い。お互いに無防備な状態で、愛情に満ちた関係でつながっているという感覚も強まる」

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

全国コアCPI、10月は+3.0%に加速 自動車保

ワールド

為替変動無秩序なら適切に対応、介入も「当然考えられ

ビジネス

ウォルマートが上場先をナスダックに変更、崩れるNY

ワールド

ゼレンスキー氏、米陸軍長官と和平案を協議 「共に取
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判殺到、そもそも「実写化が早すぎる」との声も
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    【銘柄】イオンの株価が2倍に。かつての優待株はなぜ成長株へ転生できたのか
  • 4
    ロシアはすでに戦争準備段階――ポーランド軍トップが…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    アメリカの雇用低迷と景気の関係が変化した可能性
  • 7
    幻の古代都市「7つの峡谷の町」...草原の遺跡から見…
  • 8
    【クイズ】中国からの融資を「最も多く」受けている…
  • 9
    EUがロシアの凍結資産を使わない理由――ウクライナ勝…
  • 10
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 9
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 10
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中