最新記事

日米株価

株価の日米格差は縮小へ ワニの口は年内に閉じる

2021年8月10日(火)20時21分
井出 真吾(ニッセイ基礎研究所)
ワクチンと株価

ワクチン接種の遅れで、日本はいわば「一次審査落ち」の状態だが MicroStockHub-iStock.

<年末にかけて、アメリカ株が軟調に推移する一方、日本株は底堅い展開が予想されるのはなぜか>

*この記事は、ニッセイ基礎研究所レポート(2021年8月02日付)からの転載です。

1――株価の日米格差が拡大

株価の日米格差が拡大している。日経平均株価は2月に一時3万円を回復したものの、その後は軟調な展開で7月末には2万7,300円割れとなった。一方、NYダウは順調に上昇を続け、7月23日には史上初となる終値で3万5000ドルを突破した。

ワニが口を開けたように株価の明暗が分かれたのは、コロナ禍で打撃を受けた両国経済の回復力とワクチン普及率の違いが主に影響しているようだ。

米国の実質GDP(国内総生産)は21年1~3月期に前期比年率6.3%増加、4~6月期も同6.5%増加し、コロナ前の水準を超えた。今後も順調に増えて今年10~12月期にはコロナ前の水準を5%ほど上回ると見られている。

nissei20210810175601.jpg

一方、新規感染者の増加を受けて21年初に再び緊急事態宣言を発出した日本は、米国とは対照的に1~3月期の実質GDPが年率3.9%減少、今後を見ても21年中にコロナ前の水準を回復することすら難しい状況だ。

ワクチン接種の遅れは、日本株に対する海外投資家の投資判断に直接影響している可能性もある。グローバルに投資する機関投資家が、どの国に資金を配分するか検討する際のチェックリストに「ワクチン接種率」や「今後の接種ペースの見込み」などの項目を設けており、日本はこの段階で"一次審査落ち"になっているというわけだ。

実際、海外投資家による日本株の売買動向(現物・先物合計)は、日経平均が3万円を一時回復した今年2月をピークに売り越しの傾向に転じ、7月は売り越し額が拡大している。市場動向を左右しやすい海外投資マネーが流入しないため、国内投資家も積極的に買えない状況が続いている。

だが、実は日本企業の業績は製造業を中心に堅調で、22年3月期の当期純利益はコロナ前の19年3月期を上回る可能性が高い。非製造業も最悪期を脱し、22年3月期は大幅増益が確実視されている。今後改善が見込まれる企業業績と比べて、現在の日経平均はやや割安な水準だ。

nissei20210810175602.jpg

2――割高な米国株の危うさ

一方、7月以降も最高値更新を繰り返す米国株は危うさをはらむ。米S&P500株価指数はコロナショックによる株価急落前と比べて30%以上高い水準だ。一方、同指数ベースの12ヶ月先予想EPS(1株あたり純利益)は15%の改善にとどまる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日立とGEベルノバ、東南アジアで小型モジュール炉導

ワールド

米商務省、AI半導体輸出の新規則案を撤回 公表から

ワールド

北朝鮮が約10発の弾道ミサイル発射、東海岸沖の海に

ワールド

米、カーグ島の軍事目標「完全破壊」 イランは石油施
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切りは常軌を逸している」その怒りの理由
  • 3
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド太平洋防衛
  • 4
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 5
    「イラン送りにすべき...」トランプ孫娘、警護隊引き…
  • 6
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 7
    『ある日、家族が死刑囚になって』を考えるヒントに…
  • 8
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 9
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 10
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中