億万長者の「宇宙開発」競争は、実はこんなに世界に貢献している
Billionaires’ Pivotal Space Role
ブランソンが手掛けるシステムは、常に人間が操縦かんを握る。まるでヴァージン航空に搭乗したときのように。ヴァージンでの体験は全てがパーソナライズされた「人間的な触れ合い」だ。
一方で、ベゾスは「非人間的な」アプローチを好み、自分の試みをテクノロジーの先導に委ねる。ニューシェパードにパイロットは搭乗せず、ロケットの打ち上げからパラシュートで降下して着陸するまで、全てのプロセスが自動化されている。
ベゾスが宇宙行きの最初の切符を匿名のネットオークションにかけたことは(2800万ドルで落札された)、傲慢と見なされた。ブルーオリジンが自社とヴァージンの宇宙船の技術を比較した強気な資料を発表すると、億万長者のロケットの大きさはエゴの大きさだと揶揄された。
地球周回軌道へのロケット打ち上げ市場と衛星インターネット分野でベゾスと競争しているマスクは、ブランソンの旅立ちを現地で見送った。噂ではヴァージンの宇宙旅行を予約済みで、前払い金を払ったといわれている。
もっとも、エゴの戦いや、起業家の性格の違いが企業に与える影響は、腹も立つが興味をそそられる。
第4次産業革命の火花
億万長者が民間資本を投じて新しい産業を興し、高収入の雇用を創出して、人類のために新しい資源を開発する。あるいはジェット機やヨット、豪邸を買いあさる。あなたはどちらを見たいだろうか。
彼らのリーダーシップのおかげで、宇宙分野への民間投資は、今や公共投資を上回る。ロケットの打ち上げ費用は数十年にわたり着実に上昇していたが、競争が働いて50%以上、安くなった。
恩恵は公的部門にも広がっている。NASAと国防総省は、より高性能なロケットと柔軟性のある打ち上げスケジュールを利用できるようになり、納税者にとっては数十億ドルの節約になった。
億万長者のエゴは、それだけで新しい産業革命の先駆けとなる。金銭的、物理的、環境的な利益を超越した公共的な利益は、地球上でカネを使ってもたらされる直接的な利益を、もしかすると上回るかもしれない。サンダースの言うとおり、地球上の問題と宇宙の問題は、それほど懸け離れていないのだろう。
ブランソンやベゾス、マスクの強烈な個性は、誰も行ったことのない場所に私たちを連れて行ってくれる。宇宙に関する彼らのビジョンは、第4次産業革命の目玉でもある。
壮大なエゴが繰り広げるショーを楽しみ、可能性を想像してみようではないか。
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