最新記事

新型コロナウイルス

在留邦人290人が感染、未確認含め21人死亡か デルタ株急拡大のインドネシア

2021年7月8日(木)19時45分
大塚智彦
仮設テントで床に座るコロナ患者たち

緊急病棟が満床のため外にある仮設テントで床に座るコロナ患者たち Willy Kurniawan / REUTERS

<デルタ株は医療システムが脆弱な国で猛威をふるい、過去最多の感染者が出るなか、影響は日系企業と日本人にも──>

東南アジア諸国連合(ASEAN)の大国、インドネシアでコロナの感染が急拡大し、非常事態の様相を見せはじめている。7月7日までの累計で感染者237万9397人、死者6万2908人と、ASEAN加盟国中で最悪の数字となっている。

特に6月以降、新規の感染者数が急増しており、7日には1日の感染者数としては過去最高となる3万4379人を記録する事態となっている。

こうしたコロナ感染の拡大はインドネシア人のみならず、インドネシア在留の日本人にも深刻な影響を与えており、首都ジャカルタの日本大使館ではこれまでに把握している在留日本人の感染者数は290人、死者11人としている。しかし「自宅で死亡するケースなどがあり全容を把握するのは難しさがある」としている。

日本人向けアパートで感染者100人か

こうしたなか、ジャカルタ郊外で工業団地のあるチカラン地区では日本人を対象にしたコンドミニアムで43人の日本人住民がコロナ陽性反応となり、軽度、中度の感染日本人は自宅隔離中という。問題は重度の感染者で付近の病院はすでにコロナ感染患者で満床状態になっており、入院できない状況が続いているという。

このため緊急搬送での入院の道を探るために現地日本人コミュニティーなどが動き始めているという。

ただ、このコンドミニアムでの感染者数はすでに100人に達しているとの情報も現地在住の日本人からは寄せられており、かなり深刻な状況に追い込まれ、周辺のコンドミニアムでも日本人の感染者が増えているという。

6日に死亡した在留日本人は40歳代の大手企業の駐在員、7日に死亡が確認されたのは大手商社の50歳代の駐在員でジャカルタ郊外ブカシの病院に入院して治療を受けていたという。

このほかに6月29日にはジャワ島西ジャワ州チレボンでインドネシア伝統の「バティック(ろうけつ染め)」の工房を営んでいたバティック・デザイナーとして知られた日本人女性もコロナ感染での死亡が伝えらえた。

日本大使館ではこれまで11人の在留日本人の感染死亡を把握しているが、インドネシア人と結婚し、イスラム教徒に改宗した日本人が自宅で感染死亡し、イスラム教にのっとり24時間以内に埋葬された日本人も約10人いるとの情報もある。こうした日本人の状況については日本大使館も把握していないという。

工場やオフィスでクラスターも

こうした在留日本人の間でもコロナ感染が厳しい状況になるなか、日本の大手電子機器メーカの工場で約100人規模の感染クラスターが発生したり、日本食レストランの従業員寮で約10人が集団感染したりするなどの事態も発生している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イタリアが包括的AI規制法承認、違法行為の罰則や子

ワールド

ソフトバンクG、格上げしたムーディーズに「公表の即

ワールド

サウジ、JPモルガン債券指数に採用 50億ドル流入

ワールド

サウジとパキスタン、相互防衛協定を締結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍、夜間に大規模ドローン攻撃 国境から約1300キロ
  • 3
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 4
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ…
  • 5
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    中国経済をむしばむ「内巻」現象とは?
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中