有人宇宙船の打ち上げで中国は宇宙「領有」の野望へ一歩
China Space Station First Step in Country's Plans to Colonize Space
中国の宇宙移住計画は、まずは火星よりもう少し「近場」から始めるしかないだろう。17日の「神舟12号」の打ち上げは、5年ぶりの有人ミッションだった。
全てが計画どおりに進めば、聶海勝飛行士(56)、劉伯明飛行士(54)、湯洪波飛行士(45)の3人は中国にとってこれまでで最も長期にわたる3カ月のミッションを実行し、2度の船外活動を行うことになる。
3人の宇宙飛行士は、4月29日に打ち上げられた中国独自の宇宙ステーションの中核モジュール「天和」の初めての居住者となり、居住空間や生命維持システムなどの試験を行う。来年末に完成すれば、宇宙ステーション「天宮」は、国際宇宙ステーション(ISS)が運用を終了(早ければ2024年の見通し)した後も残ることになる。
天宮の建設に向けて予定されている打ち上げは、全部で11回――有人ミッションが4回、無人補給船が4回、モジュールの打ち上げが3回だ。これらの打ち上げを終える2022年後半以降に、中国は宇宙空間での恒久的なプレゼンスを維持できるようになる。
無人補給船の「天舟3号」は9月に打ち上げが予定されており、その翌月には「神舟13号」の有人ミッションが予定されている。さらに2022年には実験モジュール「問天」と「夢天」が打ち上げられ、T字型の宇宙ステーションを完成させる予定だ。
宇宙開発は領有権争い
ISSが運用を終了すれば、長期にわたって宇宙空間に残る実験施設は「天宮」のみになる。中国は深宇宙の研究を支援するために、2024年には宇宙望遠鏡モジュールの「巡天」を打ち上げる計画だ。
だがその前にNASA、ESAとカナダ宇宙庁が2021年11月にジェームス・ウェッブ宇宙望遠鏡を軌道上に打ち上げる予定だ。同望遠鏡は、31年前に打ち上げられたハッブル宇宙望遠鏡の後継機となる。
天宮の完成は、中国の壮大な宇宙開発の野望における、きわめて重要な成果となる。アメリカの政治的反対により、中国の宇宙飛行士たちはこれまで一度も、ISSへの参加を認められていない。
いつか技術面の優位性を利用して、宇宙を単独で支配するという中国の目標について、一部の有識者たちは警鐘を鳴らしている。中国の野心的な宇宙開発計画には透明性が欠けるという指摘や、宇宙開発が2049年までに軍の近代化を目指す取り組みと関連している可能性が高いという懸念の声もある。
アナリストたちが中国の宇宙開発の隠された動機について説明する際に、よく引き合いに出されるのが、月探査計画の設計責任者である葉培建の存在だ。