【画像】無防備な村を丸ごと焼き討ち、ミャンマー軍の暴虐
Photos Show Smoldering Ruins of Myanmar Town, Burned by Government Troops
この村では軍と治安部隊の襲撃に備え、自警団が結成されていた。ミャンマー各地に生まれたこうした自警団の大半は軽装備で、手作りの狩猟用ライフルなどを所有しているだけだ。
国軍の兵士たちが家々の捜索を始めたときには、村には4、5人の住民が残っているだけだった。何も見つからなかったため、兵士たちは家々に火を放ち始めた。
「村の近くには森がいくつかあり、大半の人が森に逃れていた」と、住民は語った。
この住民の話では死傷者は3人で、ヤギ飼いの少年1人が太腿を撃たれたほか、逃げ遅れた高齢の夫婦が殺されたという。ただ、この夫婦を「行方不明」とする情報もあり、生死ははっきりしない。
村に戻る気かと聞くと、この住民は「いや、恐ろしくてとても帰れない」と答えた。
各地の自警団は、ミャンマー民主派が樹立を宣言した「統一政府」の率いる「連邦軍」に加わる意向を表明していて、一部の自警団は、長年分離独立を求めて戦ってきた国境地帯の少数民族の武装勢力と同盟を結んでいる。
これまでは国軍は、西部チン州、北部カチン州、東部カイン(旧称カレン)州など、国境地帯の少数民族の支配地域に派遣され、武装勢力と戦闘を繰り返してきた。
同じビルマ族にも容赦なし
キンマ村の事件が注目を集めたのは、マグウェ管区はミャンマーの支配的な民族であるビルマ族が多数を占める地域であり、国軍がビルマ族の村を襲撃するのは異例のことだからだ。
国軍は2017年、「反乱鎮圧」の名目で、西部ラカイン州のイスラム教徒の少数民族ロヒンギャの村々を襲撃。70万人超の住民が家を追われ、国境を越えてバングラデシュに逃れ、「難民危機」と呼ばれる事態になった。
ミャンマー国内にはロヒンギャに対する偏見が広くはびこっているため、この時には軍の暴虐に抗議の声を上げる人は少なかった。国際司法裁判所はロヒンギャに対する迫害停止の仮処分命令を出したが、ロヒンギャ迫害がジェノサイド(集団虐殺)に該当するか否かについては、今も審理が続いている。
キンマ村の事件を受け、ソーシャルメディアでは、これでミャンマー軍の残虐性を告発したロヒンギャの訴えがさらに説得力を持つとの声も上がっている。