最新記事

ミャンマー

【画像】無防備な村を丸ごと焼き討ち、ミャンマー軍の暴虐

Photos Show Smoldering Ruins of Myanmar Town, Burned by Government Troops

2021年6月17日(木)18時21分
ジュリア・マーニン
ミャンマー軍に焼かれたキンマ村

大半の住民は森に逃れて生き延びたが、住居も家畜も失った obtained by REUTERS from social media

<サッカー代表の選手が帰国を拒んだ国、ミャンマーで何が起こっているのか。国軍の暴力の一端がソーシャルから明らかになった>

村の大半が焼き払われ、煙がくすぶる無残な写真が、ミャンマー軍の蛮行を物語る。6月15日にミャンマー中部の村で何が起きたのか。独立系メディアの報道やソーシャルメディアの投稿を裏付ける住民の証言をAP通信が伝えた。

ミャンマー中部のマグウェ管区にある、今は焼失したキンマ村の住民は匿名で、国軍の兵士たちが村を襲ったと語った。襲撃の目的は、軍政の弾圧から村を守るために結成された自警団のメンバーを拘束すること。自警団は事前に軍の動きを察知し、住民たちに避難するよう警告していた。軍の兵士たちは家々を捜索して回った後、村に火を放ったと、この住民は話した。

「(軍の襲撃は)これで終わりではないと思う。みんなで、どこかよそに逃げるしかない。たとえ村に戻っても、何もかも焼かれてしまい、住む家もない」

この住民の話では、逃げ遅れた村人3人が亡くなるか重傷を負ったという。237軒あった村の家々のうち、残っているのは10軒だけだ。

「反乱の芽」をつぶすため

ミャンマー軍は今年2月にクーデターを起こし、選挙で成立した文民政権の実質的な指導者であるアウンサンスーチーを拘束して全権を掌握した。

以下は、AP通信が伝えた軍によるキンマ村襲撃の詳細だ。

キンマ村の襲撃は、全土に広がりかねない反乱の芽をつぶすため、ミャンマー軍がいかに暴力的になっているかを示す事例の1つだ。

2月の国軍クーデター以降、市民は非暴力の不服従運動を展開。静かな抵抗を武力でつぶそうとする軍政の見境のなさは、人々を屈服させるどころか、より激しい抵抗を生む結果となっている。

6月16日にソーシャルメディアで広く拡散されたマグウェ管区キンマ村の写真や動画は、軍の破壊行為の凄まじさを伝えている。家々は焼け落ち、黒焦げになった家畜の死骸が辺りに転がっている。報道によれば、この村には約1000人の住民が暮らしていたという。

軍の報復を恐れて実名を伏せることを条件に取材に応じた住民の話によれば、兵士たちが銃声を響かせながら村に入ってきたのは15日の正午少し前。既に大半の村人は避難していた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英BP、第2四半期は原油安の影響受ける見込み 上流

ビジネス

アングル:変わる消費、百貨店が適応模索 インバウン

ビジネス

世界株式指標、来年半ばまでに約5%上昇へ=シティグ

ビジネス

良品計画、25年8月期の営業益予想を700億円へ上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中