最新記事

投資

賢い資産運用のため何よりも優先して検討すべきこと...超一流投資家に学ぶ

Learn From the Winners

2021年6月11日(金)20時36分
ドリー・クラーク(デューク大学フクア経営大学院客員教授)
お金の波(イメージ)

VIAFRAME-CORBIS/GETTY IMAGES

<自分の弱点を知り過剰なリスクは避ける。投資と人生の「必勝法」を模倣せよ>

もっとリッチに、もっと賢く、もっと幸せに──。誰もがそう願うはずだが、現実はそんなに甘くない。

4月刊行の『もっとリッチに、賢く、幸せに──世界の超一流投資家たちの市場と人生への投資術』は著名投資家たちから教訓を集め、それを毎日の生活に応用する方法を紹介した本だ。「注目すべきは、一流投資家たちが大惨事を回避し、ゲームを続け、相場の急落を生き抜くことの大切さを説く点だ」という。

本誌米国版と人脈サイト「リンクトイン」のインタビュー・シリーズ「ベター」に、同著の著者でジャーナリストのウィリアム・グリーンが登場した。その中から重要なポイントを5つ紹介しよう。

脆弱性を減らす

先を読もうとする代わりに自分の脆弱性を減らすよう意識して。自分のエクスポージャー(特定のリスクにさらされている資産の割合)について考えてみる。「私の脆弱性はどこか。資金を全て一つの銀行、国、投資機関に集中させているか。一つの株式だけに投資しているか。その株式のことを分かっているか」

投機的でないほどうまくいく可能性が高い。投資運用会社ファースト・イーグルのマシュー・マクレナンの言う「相場の急落を生き抜く」態勢づくりが重要だからだ。コロナ禍で痛感するように、パンデミック(感染症の世界的大流行)であれ結婚生活の危機であれレイオフであれ、人生に「急落」は付き物。分相応に暮らし、過剰なレバレッジ(自己資本に対する負債の比率)や負債を抱え込まないことが必要だ。

子供に複利を教える

子供に早くから投資させよう。100ドルや1000ドルが10年後、20年後、40年後にどうなるかを教えれば、驚くべき結果になる。インド系アメリカ人投資家モニッシュ・パブライは、貧しいがIQの高いインドの子供たちに、彼の17歳の娘が夏休みのバイト代4800ドルを投資すれば60年後には何百万ドルにもなる可能性があるという話をした。目を丸くする子供たちに「複利の威力を覚えておくかい」と尋ねると、全員が「はい」と答えた。

成功法をクローンする

模倣は、実行する人はほとんどいないが、ものすごく強力なツールだ。例えばパブライは、空港で伝説的投資家ピーター・リンチの著書を読んでいて、バークシャー・ハサウェイCEOのウォーレン・バフェットの収益率を知った。「バフェットのやり方が正確に分かるとしたら? それを逆行分析し、再現し、それらの法則を人生と投資法に徹底的に応用できるとしたら?」

パブライはこれをクローニングと呼ぶ。パブライは資料や文献に当たり、20年間バークシャー・ハサウェイの年次総会に足を運んで、本当にバフェットとパートナーのチャーリー・マンガーのやり方を突き止めた。一から作り直すのではなく賢い人々のやり方を実際に逆行分析するのは効果絶大だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ロシア・ガスプロム、26年の中核利益は7%増の38

ワールド

英、農業相続税の非課税枠引き上げ 業界反発受け修正

ワールド

メキシコCPI、12月前半は+3.72%に鈍化 年

ビジネス

金現物、4500ドル初めて突破 銀・プラチナも最高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 10
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中