移民の流入を減らしたいなら、カギは農業の支援にあり
STEMMING MIGRATION BY FARMER AID
人的資本と地域開発への投資
国連食糧農業機関(FAO)によると、多くの支援活動が女性の役割を重視するようになった。ワールド・ネイバーズもFFSに女性を参加させようと力を入れている。男性が畑に出ている間、女性が率先して家庭菜園の手入れやひよこの世話をしていると、シェクターは言う。女性は「コミュニティーを祖国につなぎ留める重要な要素」なのだ。
「彼女たちが自分でビジネスを始め、日々口にする水や食べ物の質を向上させる手助けをする。私たちはそのための方法を考え続ける」
こうした取り組みは全て、「彼女たちが健康で、子供が健康で、夫が都市やアメリカで働いて家族に送金する必要がなくなるようにするためだ」と、シェクターは続ける。
FAOが2018年に発表したFFSの分析でも、女性は「食料安全保障と貧困削減戦略の基本」とされている。「基本的に母親が健康で元気なら、家族全員が元気になる」と、シェクターは言う。「女性が隣人と話をして、情報を交換し、ポジティブな経験を共有できるようにすることは、人々が祖国で暮らし続けられるようにする戦略において、何よりも大きな効果があるだろう」
一方で、国連の世界食糧計画(WFP)は地域社会への投資を促すために、子供に重点を置いた活動を行っている。その一例が、グアテマラの教育省と協力して、学校で子供に食事を提供する教育センターと地元農家を結び付ける取り組みだ。
WFPグアテマラ事務所のリーナ・シュブマンは、農家に安定した収入源を提供することによって、「彼らの基礎体力を高め、自分たちのコミュニティーを発展させるために投資を続けようという動機を支える」と語る。「まさに、人的資本と地域開発への投資だ」
ただし、余った作物をどこに売るのか、天候が収穫量を左右するのではないかといった懸念から、学校給食プログラムへの参加をためらう農家もいると、シュブマンは認める。「この2つは農家にとって大きなリスクで、中長期的な体力や食料安全保障に影響を与えている」
17年にグアテマラ政府は、学校が購入する食材の50%以上を家族経営の農家から調達することを義務付ける法律を可決した。WFPで学校給食プログラムを担当するカレン・ケスラーによると、50%という基準は、生徒に健康的な食事を提供することと、地元の農家に安定した収入源を提供することを同時に実現しようというものだ。学校が家族経営の農家に支払うカネは、地域社会に還元されることになる。