最新記事

教育

「宿題なし・定期テストなし」でも生徒が勝手に勉強する公立中学校の『肯定感の育て方』

2021年6月10日(木)18時05分
工藤 勇一(横浜創英中学・高等学校校長) *PRESIDENT Onlineからの転載

「子供が恥をかかないように」とか「子供の成績が上がるように」などと気を回して、転ばぬ先のつえだと思って手助けをしようとするのはやめましょう。

親の力で良い子にしようと口を出す行為が、子供の成長の機会を奪っているのです。

世間体を過度に気にしたり、親が勝手な子供像を思い描いて足りない部分を数えるのは、親子ともに不幸なことです。

大人が待ってやることで、子供の自立は高まる

たとえば、わが子が友達とうまく交流できていないとしましょう。そんなとき、親はつい「もっとお友達と遊びなさい」とか「お友達と仲良くしなさい」と子供に伝えてしまうことがあります。

もちろん親としては善かれと思ってやっていることですが、子供自身にとっては良いことはほぼ起こりません。そもそも問題意識さえ持っていなかった子供にとってはとても不幸です。「自分は仲良くできないんだ」と要らぬ問題を自覚させられたり、仲良くできない自分に劣等感を抱くようになります。

もし子供自身が本当に友達と仲良くなりたいと悩んでいるのであれば、そのときこそ親の出番です。「人と仲良くするのって大人でも難しいんだよ。だから全然大丈夫。良い方法を一緒に考えようか」と言ってやれば、子供は安心するはずです。

子供には愛されているという安心感と同時に、あきらめずに工夫する大切さを伝えてほしいのです。子育ての最終目標は、子供が自分で問題解決をし、一人で無理な場合は周囲に助けを求められる人間に育てることといえます。

極端な話、命の危険があること以外は、子供に決めさせていいのかもしれません。自分で物事を考えて、判断して、決定するということの繰り返しをどれだけ積み重ねたかで、その子の大人になったときの自立度が変わります。

親から見れば遠回りだったり、失敗が目につく場合もあるでしょう。しかし、それがいいんです。どんなに時間がかかろうとも、そのプロセスに注目して子供を見守ってください。待ってやるのが、大人の大きな役割だと思います。

工藤校長が親に授ける子供の自主性を育てるコツ1

Q:「ルールを守る子にするには、どうしたらいい?」

ルールを守らせたいならば、それを決めるところから子供に任せてみましょう。自分が作ったルールであれば、守ろうとするモチベーションが生まれます。

麹町中は宿題も定期テストもなく、教員も「勉強しろ」とは言いません。入学してきた当初、子供たちは大喜びで自由を満喫します。

しかし、そのうち何も言われなくても自分から勉強するようになっていきます。どうしたらいいのかと常に問い続け、自分で考え、判断し、行動するようになる。その中で、「自由というのは楽しいことだけじゃない。自分のことに自分で責任を持つということなんだ」ということを徐々に理解できるようになっていくのです。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏「キューバは崩壊寸前」、軍事介入不要との

ワールド

安保理、ベネズエラ大統領拘束の正当性焦点 米は責任

ビジネス

エアバス、25年は793機納入 通年目標を達成=ブ

ワールド

スイスのバー火災、犠牲者全40人の身元確認 半数超
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...強さを解放する鍵は「緊張」にあった
  • 2
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 3
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 4
    2026年の節目に問う 「めぐみの母がうらやましい」── …
  • 5
    野菜売り場は「必ず入り口付近」のスーパーマーケッ…
  • 6
    ベネズエラ攻撃、独裁者拘束、同国を「運営」表明...…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「対テロ」を掲げて「政権転覆」へ?――トランプ介入…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 2
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 6
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 7
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 10
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中