最新記事

暗号資産

カール・アイカーンも参入!? ビットコイン暴落でも著名投資家は強気

2021年5月28日(金)11時39分
ジェンキンス沙智(在米ジャーナリスト)
ウォール街と仮想通貨(イメージ)

ウォール街も暗号資産を無視できなくなってきた simoncarter-iStock.

<1カ月で半値になる暗号資産に、なぜ将来性があると思えるのか?>

ビットコインをはじめとする暗号資産(仮想通貨)の投資家にとって、この数週間は胃の痛む相場展開となっている。

代表的な暗号資産であるビットコインの価格がテスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の発言や中国政府による規制強化の動きを嫌気した売りに押され、史上最高値をつけてからわずか1ヵ月余りで半値まで急落したほか、イーサリアムやドージコインなどのアルトコイン(ビットコイン以外の暗号資産)も同じく大荒れ模様となっている。

著名投資家のマーク・キューバン氏は先日、この暴落を「大いなる巻き戻し(Great Unwind)」と呼び、借り入れた資金を元手に暗号資産を購入した後、これを貸し出してさらに高い利回りを獲得してきた投資家が連鎖的なポジション解消を余儀なくされるリスクに警鐘を鳴らした。

ところが市場全体では、一部を除いて驚くほど投資家心理が悪化しておらず、強気派はわずか半年で相場を4倍に押し上げた熱量そのままに、押し目買いのチャンスを虎視淡々と狙っている。

用途が広がり制度の一部に

楽観論を支える根拠の1つは、暗号資産に働いている好循環のメカニズムだ。今年はペイパルがビットコインなどを使ってオンラインストアでの支払いができる機能を立ち上げたほか、スターバックスがビットコインでプリペイドカードにチャージできる仕組みを確立するなど、決済手段としての普及に向けた道が大きく開きつつある。

また、モルガン・スタンレーがビットコインで運用するファンドへのアクセスを提供し始めたり、ゴールドマン・サックスがビットコイン価格に連動するデリバティブ商品の取引に乗り出すなど、大手金融機関の間でも暗号資産需要を取り込む動きが広がっている。こうした動きに伴って流動性も高まっており、相場急落後もこの根本的な環境に変わりはない。

暗号資産はこれまで、一部の投資家のみが熱狂的に取引している新興資産としての色合いが強かったが、ここ数ヵ月の価格上昇や市場拡大で、すでに伝統的資産と横並びでポートフォリオへの組み入れを検討されるまでに成長している。

ヘッジファンド世界最大手ブリッジウォーター・アソシエイツの創業者で、暗号資産弱気派として知られていたレイ・ダリオ氏は今週、仮想通貨メディアのコインデスクが主催したイベントで債券よりビットコインを選好する考えを示して市場の注目を集めた。また、少なくとも昨年末時点では暗号資産に懐疑的な見方をしていたにもかかわらず、今ではビットコインを「いくらか保有している」と明らかにした。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英総合PMI、12月速報は52.1に上昇 予算案で

ビジネス

独ZEW景気期待指数、12月は45.8に上昇 予想

ワールド

ウクライナ提案のクリスマス停戦、和平合意成立次第=

ビジネス

EUの炭素国境調整措置、自動車部品や冷蔵庫などに拡
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連疾患に挑む新アプローチ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 8
    アダルトコンテンツ制作の疑い...英女性がインドネシ…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    「なぜ便器に?」62歳の女性が真夜中のトイレで見つ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 8
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 9
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 10
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中