最新記事

中国

米中貿易額の激増:垣間見えるバイデン政権の本性

2021年5月23日(日)12時32分
遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長)
バイデン大統領

バイデン大統領 Jonathan Ernst-REUTERS

5月7日の中国税関総署発表によれば、今年に入ってからの米中貿易額は昨年同期の61.8%増を記録し他国を大きく引き離した。対中強硬姿勢を示す一方で、アメリカは大いに中国からの輸入を増やしている。

61.8%増に跳ね上がった米中貿易額

今年5月7日、中国の海関(税関)総署は、「2021年1月から4月までの輸出入主要国別・地域別総額(貿易額)表」を発表した。

あまりに多岐にわたり、表が見づらいので、その中から「貿易高が比較的大きな国・地域」および「同期増加率が比較的大きな国・地域」をいくつか選んで以下に図表化してみた。

図1
endo20210523105201.jpg
中国税関総署が2021年5月7日に発表した「2021年1月~4月の国地域別貿易額」より筆者作成


「オレンジ色の棒グラフ部分は、中国が相手国に輸出した金額」を表し、「青色の棒グラフは、中国が相手国から輸入した物資の金額」を表す。いずれも単位は「億ドル」で左側の縦軸に目盛りを示している。

「赤色の▲は、同時期の前年度比」だ。右側の縦軸に目盛りを示した。

赤の破線は「平均増加率」である。

このグラフでまず目立つのは、アメリカが突出して「一国」として絶対値も大きければ増加率も大きいということだ。

中国税関総署の貿易額表の下にある注記によれば、ASEANとEUの対象国は以下のようになっている。

ASEAN(10カ国):ブルネイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム

EU(27ヵ国):ベルギー、デンマーク、ドイツ、フランス、アイルランド、イタリア、ルクセンブルグ、オランダ、ギリシャ、ポルトガル、スペイン、オーストリア、フィンランド、スウェーデン、キプロス、ハンガリー、マルタ、ポーランド、エストニア、ラトビア、リトアニア、スロベニア、チェコ、スロバキア、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア

これらの国々の数を考えると、ASEANおよびEUの内の「一国」が占める割合は非常に小さく、中国にとって「アメリカ一国」だけが突出して高い貿易額を占めていることがわかる。

おまけに中国から見た時の輸入より輸出が大きいというのは、米中合意の逆を行っていることになる。

しかも増加率が尋常ではない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中