インドの空港倉庫に国際支援物資置き去り 「どこに配られるか誰も把握していない」
世界各地からインド向けの支援物資が積み込まれたが...... Menahem Kahana/REUTERS
<国際社会からインドに支援物資が続々と到着するも、その大半は必要とする人々に届いていない......>
新型コロナが猛威を振るうインドでは、1日あたりの新規感染者数が40万人に達した。母数の人口が異なるとはいえ、単純に感染者数で比較すれば日本の60倍、アメリカの10倍ほどの規模に上る。感染が確認された人の割合はインド全体で3人に1人、状況が深刻な南西部ゴア州では2人に1人という極めて高い水準になっている。
治療に必要な物資が圧倒的に不足しており、家族らは知人のつてや非正規の取引などを通じ、酸素ボンベ、ワクチン、治療薬のレムデシビルの調達を試みている。
とくに深刻なのが酸素不足だ。人口が集中する北部の首都デリーでは十分な酸素を製造しておらず、東部の工業地帯からの輸送に依存している。ロイターは、液体酸素は空輸不可能なことから、場合によってはタンクローリーで1000キロ以上を陸送している状態だと報じている。また、そもそも国内全体の生産量が十分でなく、各州は酸素の争奪戦に動いている。
不足する酸素とワクチン、そして治療薬を求め、人々は炎天下での行列を強いられている。米CBSは、列での待機が「数時間、ときには数日間」に及ぶと伝えている。必要な酸素が手に入らないだけでなく、物資不足が新たな密を生み出している状況だ。
国際社会からニューデリー空港へ、続々と支援が届く
インド国内の窮状が報じられると、多くの国々が国際援助を申し出た。現地CBS紙によると、イギリスは大型酸素生成機3台と人工呼吸器1000台を載せた大型貨物機を飛ばし、すでにニューデリーでの荷下ろしが完了している。
Watch: India receives first shipment of Covid aid from UK, MEA tweets picturesインディア・トゥデイ紙はアメリカが4月下旬、酸素ボンベ、酸素濃縮機、診断装置、N95マスクなど、1億ドル相当の支援物資を発送したと報じている。
このほか、医療チームと移動式酸素製造機の提供を申し出たドイツをはじめ、フランス、ベルギー、ドバイ、タイなど世界各国から援助が向けられている。日本からも、支援が決定された酸素濃縮機300台のうち、第1弾として100台が到着した。