最新記事

アメリカ政治

元気過ぎるトランプの現在...韓国など同盟国を攻撃し、アメリカの分断を煽る

Choosing Servility Over Country

2021年5月11日(火)18時52分
ウィリアム・サレタン
チェイニー下院共和党会議議長とトランプ(2019年11月)

下院共和党会議議長を務めるチェイニー(前列左端)の批判的な姿勢に、トランプは腹の虫が治まらない(2019年11月) MARK WILSON/GETTY IMAGES

<前大統領は今もアメリカの信用をおとしめ続け、共和党も彼に批判的な幹部の追い落としを支持>

米共和党が、リズ・チェイニー下院共和党会議議長を追い落とそうとしている。ドナルド・トランプ前大統領は昨年の大統領選での敗北を「不正」だと主張しているが、下院共和党で3番目に高い地位にあるチェイニーが彼の嘘を受け入れないためだ。

共和党がチェイニーではなくトランプを選べば、真実より嘘を選んだというだけではない。それは、愛国心より隷属心を選んだことになる。トランプは「アメリカ第一」を掲げる一方で、国を分裂させ、信用を失墜させるために今も動き続けている。

1月6日、トランプは大統領選での敗北を議会が認定するのを阻止しようと、支持者をたきつけて連邦議会議事堂に送り込んだ。暴徒化した支持者の試みは失敗に終わり、トランプは1月20日に任期満了で退任。だがそれ以降、トランプはインタビューや演説、文書などで十数回にわたり、昨年の大統領選は「不正」であり、「完全な詐欺」であり、「何千万もの偽の投票用紙」によって選挙が「盗まれた」などという真っ赤な嘘を支持者に向けて唱え続けている。

こうした嘘をつくとき、トランプは反乱をあおり、政府への信頼を損ねるような表現を選ぶ。2月28日には、保守政治活動集会(CPAC)で、ジョー・バイデン現大統領は選挙に勝っていないと語った。

民主主義を壊す具体的方法を提言

「バイデンは勝ったか? いや違う」とトランプが言うと、支持者たちは「勝ったのはあなただ!」と連呼した。するとトランプは「勝ったのは『私たち』だ」とあおった。

トランプは3週間後、自身の公式サイトへの「第45代アメリカ合衆国大統領ドナルド・J・トランプの声明」と題する投稿で、「われわれは非合法的な選挙を行った」と主張した。4月12日には、米政府は「違憲である選挙で選ばれ、この国を破壊しようとしている急進左派の民主党員」によって掌握されていると記した。

トランプは、アメリカの民主主義を破壊するための具体的な手段まで提言している。右派コメンテーターのリサ・ブースが3月22日に行ったインタビューでは、共和党の上院議員は「姿を見せない」ことで民主党の法案を阻止すべきだと提案した。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米国株式市場=ダウ436ドル安、CPIや銀行決算受

ビジネス

NY外為市場=ドル急伸し148円台後半、4月以来の

ビジネス

米金利変更急がず、関税の影響は限定的な可能性=ボス

ワールド

中印ブラジル「ロシアと取引継続なら大打撃」、NAT
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パスタの食べ方」に批判殺到、SNSで動画が大炎上
  • 2
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長だけ追い求め「失われた数百年」到来か?
  • 3
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」だった...異臭の正体にネット衝撃
  • 4
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機…
  • 5
    「このお菓子、子どもに本当に大丈夫?」──食品添加…
  • 6
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中…
  • 7
    約3万人のオーディションで抜擢...ドラマ版『ハリー…
  • 8
    「オーバーツーリズムは存在しない」──星野リゾート…
  • 9
    「巨大なヘラジカ」が車と衝突し死亡、側溝に「遺さ…
  • 10
    歴史的転換?ドイツはもうイスラエルのジェノサイド…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 5
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 9
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中