ファイザー製2回目接種、遅らせる方が有利か 抗体3倍に 英研究
英ガーディアン紙は免疫効果が高まるだけでなく、ワクチンによる保護がより長期間持続する可能性を挙げている。抗体レベルはいずれにせよ時間とともに自然に減衰してゆくが、2度目の接種の時点でより高い水準の抗体が得られるのであれば、より長い時間をかけて減衰することが考えられる。
仮に3度目以降の接種が必要な場合でも、そのタイミングを遅らせることができる計算だ。ワクチンの供給量が限られている現在、同じ効果を得ながら社会全体の期間あたりの消費数を抑える結果が期待できそうだ。
日本では現状、3週間隔での接種が推奨されている
現在日本ではファイザー製ワクチンを接種する場合、別の予防接種を挟むケースなどの例外を除き、基本的には初回接種のおおむね3週間後にブースターショットを打つことが推奨されている。
3週間隔での接種ができない場合については、できる限り速やかに2回目の接種を促す方針となっている。現状ではあえて遅らせるという考えは見られないが、今後各国の動向を見ながら接種間隔を調整する余地はありそうだ。
エディンバラ大学で免疫・感染症学を専門とするエレノア・ライリー教授はガーディアン紙に対し、ワクチンが限られており多くの人々がリスクにさらされている状況では、2回目の接種を遅らせるという方針に本研究のデータが「かなりの根拠を与える」との見方を示している。
本来3〜4週後の接種が推奨されるアストラゼネカ製ワクチンについてはすでに、イギリスだけでなくスペインなど複数の国が、12週などの間隔を空けた接種に切り替えている。
ただし、日本の接種ペースの伸び悩みは人手や物流などが課題に挙げられており、必ずしもワクチンの輸入数だけがボトルネックというわけではない。ブースターショットの時期以外にも、こうした課題を解決してゆく必要がありそうだ。
また、イギリスではロックダウンを併用したことで効果が高まったとの見方もある。英リーズ大学でウイルス学を研究するステファン・グリフィン博士は、英ネイチャー誌に対し、「人々は1回目の接種から2回目までのあいだ、理論上はぜい弱です」と述べている。より万全を期すならば、他の政策の併用が望ましいという見解があるようだ。
一方で、mRNAワクチンについては1回の接種だけでも4週後の有効率が80%から90%に達するとのデータもあり、1回接種を優先することにも相応の妥当性が認められる。
ワクチンについては日々新たな研究が発表されており、データに基づいた柔軟な政策変更が求められそうだ。